2017年06月03日

月の居ぬ間に、終了

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 DEE'S HALL 像刻個展「月の居ぬ間に」
おかげさまで、ご好評をいただき終了することができました。


 方言の音や風の音、四季の変化ある風景、土の色、海の色、山のシルエット
そういうなんとも漠然とした空気というか、そこに当たり前のようにあるもの、
そうしたものをひっくるめて”風土”と呼ぶのでしょうが、

今回はそれらを自身で感じ、体験し、採集し、
きちんと驚き、喜び、寿ぐことから始めようと思いました。
これが僕の拾ってきた日本ですよ。と。


 始まりにこだわるかわりに、
あそこに行きたい。あんな作品を作りたい、と結果を強くイメージし、
また志向することをやめました。
何かに強く憧れ、その後追いをすることが今の自分の制作ではないな、
と思ったからです。

終着や結果を追い求めすぎると、つい大切なポイントをスキップして
最短ルートを辿りたくなりますし、
大事な旅が、目標達成のための単なる選択可能な手段と
成り下がってしまう恐れがあったからです。
そうなりかけた自分への自戒を込めて。


酒ではありませんが、丁寧に醸す。

驚きや喜び、平たく言えば”感動”が、醸されて
なんとか許容できる形を帯び始めたところを到着地点としました。

そうした旅の痕跡が今回の作品の作り方です。

昨年、東北を何度も訪れて素材探し、動機探しをしたことが大きく影響しています。

結果としてそれが多くの方の思い浮かべる既存の日本のイメージと離れていても、
それは僕が旅の結果行き着いた小さな頂きですから、良し、としました。

自分の中にある”日本”という課題はしかし手強い。
日本は、体の隅々まで行きわたり染み付いたものです。
あまりに慣れすぎて当たり前。
それを客観的に異国から来た人のように、初めてそれを見る人のように
僕は驚いてみる。

今回の、「異界と郷」というテーマはそういうところにありました。
僕自身が「マレビト」に化けて郷を訪れ戸惑ってみせる、
もちろん僕自身は作品に身をやつして。
外から来た異なるものに郷の人々もまた戸惑い、驚き、誘われてしまう。
という一種のマツリを体験してみたかったんです。
それが今回の仕組みです。

月のない一夜に。

さて僕の中の日本を引き剥がし、もう一度新鮮に驚いてみる。
正直に言うとこれは一度ではとてもとても歯が立つものではありませんでした。
旅を続ける価値がありそうです。

実はわからないことだらけです。
知った気になっている自分を再び三度戒めながら、
登山をまた続けたいと思います。


もっともそんなごたくは、青山に足を運んでくださり
観てくださった方々とは何の関係もありません。
そんな風にみてくださいね。というのでは決してありません。

むしろまったく違う風景を風土を仕掛けを思い浮かべてくださった方がいるのなら、
それは作家にとって僥倖と呼ぶべきものです。

「月の居ぬ間に」という一度限りの舞台公演を観に来てくださったたくさんの方々、
関わってくださったたくさんの方々に
改めてお礼を申し上げます。

たった一週間ですけれど、同じ空気に一瞬触れてくださった方々。

本当にありがとうございました。


次回の機会は1年後広島。
2年後またDEE'Sとなります。

他の細々とした窓口は、当ブログもしくは
未だ初心者マークの
インスタグラム、フェイスブック を覗いてくださいませ。
Hideki Maekawa もしくは lolocaloharmatan で検索できるようです。


それではまたどこかでお会いしましょう。
お元気で。















posted by 前川秀樹 at 22:21| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月19日

直前


フェイスブックとインスタグラムを遅まきながら始めました。
lolocaloharmatan です。



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「忍び音降る」

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「月の居ぬ間に」のイメージスケッチなんかもたくさん。
今回は各地で採集してきた土の絵の具で描いてみましたよ。


モティーフとして今回は自分と土地とのつながり、民話とか
日本の風土を強めに意識したものが多いです。




 今日は梱包作業中です。
飽きたら庭の草むしり。
また梱包 また草をむしる。

日が長くなったとはいえ1日なんてあっという間だ。
夕方になると満開の椎の花の強い香りが二階の窓から流れ込んでくる。

テッペンカケタカ!
といえばホトトギスの鳴き声
蝉よりも一足早く、夏は来ぬという気にさせてくれる。
その昔、ちょうど今時分の夜半、
ホトトギスのこっそりと漏らす忍ぶ声を誰よりも早く耳にすることが粋で
初音に耳をそばだてつつ、夜通し語らい飲み交わすような典雅な習わしが一部にあったとか。

よござんすな。

とはいえ僕の記憶では、
はるか上空から降る礫のように夏を告げる
けたたましいテッペンカケタカ!の”忍び音”など
ただの一度も耳にしたことはない。

果たして忍ぶかあ?あの鳥が?
という似合わなさが、昔日の粋人たちの想像膨らむ創作で、、
ギャップ萌え的面白みなのかもしれんなあ。

今年も間も無く渡ってくるだろう。

さて明日も梱包とか搬入工具のチェック。
搬入までは天気は上々のようだけど
来週の展覧会本番はいかがかなあ。

「月の居ぬ間に」

あと三日、火曜日が初日ですよ。






posted by 前川秀樹 at 18:54| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月11日

この後に及んで その2


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そんなことやってる場合か!の
素材採集&逃避行動の第2弾 
これはまた別の先日。

場所は福島県某所。
前回よりはちょっと遠征なので
お供を誘う。
すぐ言って乗ってこられるのは
いつもの滝下達と、その弟あつしの二人。
二人とも近所に住んでいるからね。


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前々からグーグルアースの上空からの画像で、
なんだろうこの地面の色。
と、気になっていた場所があった。
むき出しの土がやけに白い?

その1石灰系、その2堆積層のシルトや白亜、その3花崗岩系の長石成分。
思いつくのはそのくらい。
国土地理院の地質図によるとそのあたり一帯広く、
白亜紀系花崗岩とある。
誕生が古いから花崗岩の風化が進んで、いわゆるマサ土の色なのかも。

その3と予想。

それは、だいたい当たり。
マサ土がさらに雨風にさらされ、
石英とか白雲母とか石英といった透明から白の粒子が地肌に露出した色だった。

濡れ色は白っぽいベージュ。乾けば多分クリーム色くらい。
粒も大きい。絵の具になるかなあ、、、
まあ水でうまく上澄みをコシ取ればなんとかなるだろう。
ちょっとだけ採集していく。

移動して、次は今しかない極上の新緑なので
沢を歩くしかないだろう。

初めて来る場所だけど、この沢、
水晶があるらしいよ。

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秋楡の大木の横顔のそばを通り、
翠嵐のただなかを歩く事40分。
あーこれだけでなんか体がスーッと透明になっていく気がする。
今、モヤモヤ解消中。逃避行動が効果をもたらし中。
来てよかったなあ。

この先で収穫が待っていればさらに、、、。


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この辺りがポイントらしいんだけど。
どう?あるかね?

崖から崩れて下に溜まっている土砂を熊手でかいてみる。

ああ、細かいのが砂利に混じってあるねえ確かに!
結晶小っさ!。
でも透明度は高そうだし、
これはこれできれいかも。

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2時間近く頑張ってこんなふう。
水晶の赤ちゃんだなこれは。
とはいえ塊の群結晶なんかもあって楽しくて夢中になった。

みればお供の二人も結構いいのを沢で洗って広げている。

表面の酸化鉄は丁寧に洗えば取れそうだし。
これはちょっと今回素材に使ってみよう。


温泉に入って帰ろうかね。
ここまでくれば安くていい日帰り温泉があるよ。
ここから片道また3時間だ。
収穫もあったし、
帰るまでが遠征です。
安全運転で帰ろう。











posted by 前川秀樹 at 17:49| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この後に及んで その1




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先日のこと。
作品の最終レタッチをしていて幾つか、気づきがあって、
例えば
もうあとほんのわずかスパイスが足りないんだよなあ。
なんかピリッと一箇所異素材を使えばいいのかもとか、
作品にもう少し確かな ”風土とのつながり”が欲しいんだけど、
自分で採集した土を使いたいなあ。
とかそういうちょっとした
ほぼ完成を見ている作品に対して
今更蛇足かもしれないけど、

搬入直前に及んで素材の採集に出かけることにした。

そんなことやってる場合か!
と突っ込まれそうだが、思い立ったら仕方がない。

というのがたて前で、
その実、
緊張感とか閉塞感とか不安感とかそういうモヤモヤ
からのていのいい逃亡である。


茨城県某所

護岸工事のされていない川の底を歩いていると、
流れに削られた土の壁の露出に気がつく。

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あの上の方に出てるなあ。

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ちょっと青っぽい。きれいないい色だ。
もっともあれはいわゆる”濡れ色”なので
乾くと白っぽくなってしまうだろうけど、
一応確認。

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青っぽいのは鉄分を含んだ土が酸素の少ない土中で作られた色。
鉄が何でも赤っぽくなるわけではない。
赤色が酸化作用で青色が還元作用。と
むかーし授業で習ったような。。。

黄色っぽいのと、黒っぽいのも合わせてちょっとずつ採集。
使えるといいんだがなあ。

川底の石にはまた色々面白い感じのがあって、

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これは珪化木。石炭とはまた違う木の化石。
木の成分がケイ素(シリカ)と入れ替わってできる。
だから木の導管や年輪がそっくり残っているのに硬い。
端っこの方のヒビに赤瑪瑙の脈が走っているオマケ付き。
瑪瑙もまた二酸化ケイ素なので硬い
これは素材にはならないけど洗うときれいになりそうなので
持ち帰り。


あ、雨?

と思っていたら間もなく土砂降りに。
残念、今日はここまで。


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で翌日まずは天日干しから開始。

まあなんとか土絵の具として使えそう。
乾くと予想通り青っぽさがほとんどなくなってしまったけど。

実際、
今回の一部の作品に反映されていますよ。









posted by 前川秀樹 at 17:05| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月25日

君、独逸の鶏は何と鳴くのか知っているかね? クックドウルドウ KIKERIKI


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 先日、鹿島神宮にお参りに行った帰り、
前から気になっていた鶏肉専門店に立ち寄った。
通販では有名なお店らしい。

鶏肉屋さんなのだが店内のイートスペースでいろいろ食べられる。

二人で親子丼とそぼろ照り焼き丼など注文。
なるほど、鶏肉の地味を損なわない程度の、いい塩梅の薄味の味付け。
こういう素朴な料理で美味しいと思わせるのは素材の自信なんだろうなあ。

鶏肉って流通しているのはほとんど柔らかい若鶏ばっかりで、
昔食べた噛み応えのある硬い親鳥の肉ってどこに行っても見つけられない。
西アフリカとかインドネシアとかまあそういう場所で目の前で捌いてもらった鳥が
噛めば噛むほどなんともじわっと味が濃買ったのをよく覚えていて、
時々無性にそういうゴリゴリ野生的なのが食べたくなる時がある。

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店頭で聞いたら扱っているらしい。
今度絶対腿まるごと買ってみよう。
塩コショウとニンニクで炙ったら美味しいと思うんだよなあ。


水郷のとりやさん


ですよ。



posted by 前川秀樹 at 18:02| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月24日

花の房総へ

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 長い冬眠の時期が終わって
花の便りが届き始めたので、
制作のキリのいいところで一休み。
材料収集と英気補給のために出かけることにした。
行き先は南房総にした。

「家から日帰りもできなくはないけど、
旅気分を十分に味わうために、
あえて一泊お出かけシリーズ」

長い長い。花が散っちゃうよ。




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もうあっちもこっちも花花花。
ああ、茨城はまだここまでじゃないなあ。
なんだか気持ちまでぱあっと明るくほころぶような色彩。
夏の濃度とはまた違う控えめな鮮やかさがいい。




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街道沿いの花農家さんで妻、ポピーを30本購入。
さらに道の駅でカーネーションを2束。
お土産も兼ねて多めにね。





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むろんニハルのストレス発散も兼ねている。
一日中浜を全力疾走。若い。体力は売るほどある。
なぜか砂を食う。目を離したすきに死んだ魚や、
ブログ上なら間違いなくモザイクで自主規制やむなし級の
はばかりものの匂いを嗅ぎ齧る。
ここぞとばかり、飼い主としては嬉しくないこと
やりたい放題のお嬢。



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 南房総の館山あたりに足繁く通っていたのはもう20年くらい前。
海遊びに漂着物採集、温泉、キャンプ。当時の埼玉からは決して近くはなかったが、
勝手知ったる遊び場だったのだ。
仕事が終わってから夜から出かけたりしてた。
若かったんだなあ。
広くて変化に富む磯の風景はあの頃のまま。

ただ変わったな、と思ったのは、
小さな素敵風のお店が道沿いに増えたなあ、という印象。
田舎暮らしを志す若い人たちがたくさん移住しているのかもしれない。

不便ではあるけど温暖だし住みやすそうだからかなあ。

それから驚いたのは「道の駅」の充実度。
これは以前は一軒もなかった。

どこの道の駅も大変特色があって、
隣町のそれとキャラがかぶらないようにしているようだ。

あるところは海産物とマリングッズに特化、
あるところはフラワーガーデンと農産物に特化。
あるところは捕鯨の伝統を柱にくじら料理が名物、といった具合。

今回楽しかったので、看板を見つけるたびに立ち寄って、結局5軒のハシゴ。
食材をたっぷり買い込む。

こうやって自治体が町おこしで頑張っているからか、
若い人も移住してくるし、不思議と、
どの地方にも漂う独特の寂寥感はあまり感じなかった。
もっとも実情はよく知らないけど。

茨城だって首都圏からの距離は似たり寄ったりなのに、
こういう季節や土地ならではの活気みたいのモノには欠ける。
もっと頑張れよ。魅力度万年47位県。


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道の駅の鯵のヅケ丼が今回最後の食事。
津軽と甲乙つけがたい魚の旨さ。



さて、いい空気をたくさん呼吸できたおかげで気持ちも入れ替わった。
個展まで残り2ヶ月を切った。
制作はここからが正念場なのだ。






posted by 前川秀樹 at 20:41| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月17日

山怪

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 山と渓谷社から出版されている「山怪 弐」という本を読んだ。
マタギや林業従事者など山という異界で暮らしの糧を得る人々が体験した
なんとも不可思議な出来事が聞き書き形式で編集されている本だ。
壱が出た時にも面白くて一気に読み込んだ。

山には何かが居る。

すっかりその気になって午後から出かけることにした。
先日のこと。
遠くに行くのは道路状況が不安なので、近場の山で。

風の通り抜ける尾根道を息を切らせて登る。
冬の山は何だか棟上げ間近の建物みたいに遠くまで見通しが効く。
清々しく透明で不思議とほっとできる安心感がある。

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ふと見れば足元に一面に散らばる石英の欠片。
周囲の岩から自然に風化して散らばったものではないだろう。
誰かが、ばらまいたものだ。
わざわざこんなところまで持ち込んでばらまけるような量ではない。
この近くで掘り起こし、何らかの理由で捨てていったものに違いない。

突き出た岩はほぼ全て花崗岩なので、石英はこの辺りのものだろうが、
普通の花崗岩はこんな風に大きな塊で鉱物が含まれることはなく、
粒は細かく均等だ。御影石のあのツブツブ模様の大きさだ。

ということはこれの元々はペグマタイトである。
ペグマタイトとはざっくり言えば
それぞれの鉱物の粒が部分的に
異常に大きく結晶した花崗岩のことである。

近くにその脈が含まれたものがあるのだろう。
と思って尾根道をちょっと外れてウロウロしていたら。

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あった。ウロが。というより穴?


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穴の入り口は砂というか土砂が大量に掻き出されたような斜面が。
いったいどんな妖怪が?

のはずはなく、紛れもなく人が掘ったものである。
こんな穴がいくつも口を開けており、
それが斜面にほぼ一直線に斜めにずっと向こうまで並んでいる。
おそらくこの穴の並びが鉱脈筋の傾斜なのだろう。

おっかなびっくり、そのうちの一つの穴に懐中電灯を差し入れ
体半分だけ這い入って、視線を上げる。
体半分だけとはいえごつんと落盤したらそれっきりである。


よく見えないので、好奇心が疼いて、もうちょっと奥まで這入ってみる。
さらにもうちょっと。
入り口は狭いが中は意外にも広かった。
人一人やっと、どころか、しゃがんだ状態ではあるが、
10人以上入れそうな規模である。

 ライトに照らされた岩壁には幅70センチほどで
帯状になったペグマタイト脈が地面と平行して走っている。
やっぱりあった。
白っぽい長石と半透明の石英を地色にして一面に雲母がキラキラと光る。
光の具合では川面のようにも見える。
ちょっと神秘的な眺めだった。こんな規模のものは初めて見た。
しばらくただ眺めて見入ってしまった。
ライトを動かす。
あかりの届くぎりぎりの暗闇にぶら下がる黒い塊はなんだろう?地中きのこ?
いやいやあれは蝙蝠だろう。ざっと8つくらい。
この低い天井であれがバタバタ飛んできたら嫌だなあ。
その奥の闇の深さにちょっとゾッとした。どこまで続くんだろう?

本当にこれを人力で?どれくらいの時間で何人で?
よく見れば、足元には錆び付いたタガネがいく本も転がっている。
これを重いげんのうで叩き続けて岩盤を崩し
それをザルのようなもので外へ運び出し続け
結果こうなったのだ。
凄まじい執念。
風化が進んだ花崗岩は脆い。
あの蝙蝠のあたりで、タガネの振動で
ズドンとひとかたまりの岩が天井から剥がれ落ちたら、
それだけで多分死ぬのだろう。生き埋めというのも嫌だ。
命の危険と引き換えにできるほどのものが
本当にこんなところに埋もれていたのだろうか?

ここは鉱山ではないから、
営利目的の開発やいわゆる仕事ではないはずで、
つまりは個人的な盗掘ということなのだろう。
何か目的のものを探し掘り出していたのだ。

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穴から這い出て入り口の外の砂利の中から見つけたのがこれ。

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煙水晶の破片である。

これの綺麗な良品が彼らの獲物なのだろう、
あるいは緑柱石や大きな石榴石も出たかもしれない。
花崗岩ペグマタイトとそれらは縁が深い。

そして写真の破片はこの洞窟の製作者たちが捨てていったものなのだろう。
とはいえこれら弾かれたゴミから推察して、
盗掘者の獲物がそこまで希少な
上質の水晶であったとは考えにくい。
この辺が宝石の名産地なんて評判、聞いたことがないから。

僕には相場なんてよくわからないけれども、
いずれにしろここで産出するのは目の飛び出るような高価な代物ではないように思う。
ただ個人の趣味としてもっといい獲物が欲しかったか
あるいは暗闇でのその行為には中毒性でもあるのか。
いずれかの一心でタガネを打ち続けたのだろう。

ちょっと掘れば、あと10センチ掘り進めば、びっくりするものが出てくるの違いない。
あと1時間続ければすごいものが現れる。

その発想こそが山師のそれである。
山師とは元々相場師や賭博師という意味ではなく、
金属鉱脈を探して歩いた山人たちのことを指す。

山中の木立の隙間に
そんな人間の妄念みたいなものが今も漂っているような気がした。


こんな明るすぎてスケスケに見える現代においても、
謎や不思議や怪なんてどこにも居場所を失ったかに思える昨今においても、
なお
山は何かを隠している。

感想というより願望に近い。
だから山はいつも怖くて、どこかほっとする。

 今日 春一番が吹いた。


















posted by 前川秀樹 at 22:01| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月13日

yellow or green

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 1階の土間と千恵の作業場を仕切る壁に、
両開きの扉と窓枠を作りつけたのが2年前。

ガラスの無い未完成のままだったのだが、
先日ようやくにしてステンドグラスがハマり完成を見た。
ステンド制作は千恵。
格子にしてよかった。
うん、なかなかいい、と、
ストーブの前で自画自賛。

住処ができてから16年。
住みながら気がついたところをちょくちょく作り、
未だに少しずつ変化中だ。
まあ、完成を目指すつもりはさらさらないのだ。

作品作りという制作作業とそれ以外の個人的な手作業。
どちらも作業内容には決定的な差異はないのに、
後者はただ楽しい。
何でだろう?
それは動機(モティーフ)が違うから。
それはそうだ、が、
それにしてもこの気持ちの持ちようの真逆感は
ずっと持ち続けている謎だ。

いや言い換えれば、作品制作が楽しくて好きで仕方がない。
と常々感じられるとしたら、
それは自分がなんか違う鉱脈を掘っている黄色ランプ
なんじゃないか。と、ひねくれて思う。

自虐と不安が、
可能性のある鉱脈掘削の
グリーンランプのような気が最近するなあ。



posted by 前川秀樹 at 19:19| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月11日

ルビジノバザールのお知らせ


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霞ヶ浦のセルフギャラリー、バトー・ルビジノ。
すでにお知らせしました通り、
先月をもちまして、おしまいになりまして、
ぼちぼち片付けを始めました。

そこで、ルビジノで長年使った備品のバザールをやろうと思います。

日程  12月18日(日)19日(月)

時間  両日共10時半より日没まで

場所 バトー・ルビジノにて  茨城県かすみがうら市加茂3370 ←この住所でカーナビでほぼ隣の家までは来られます。



椅子とかテーブル、食器、昔前川が製作した生活道具(椅子とかランプとか)の他に、
うちで使っていたユーズドの椅子とかガラクタとかそんなものも一緒くたにバザリます。
像刻作品のようなものはありませんよ。念のため。

ルビジノのかけらを引き受けてくださる方、
興味のある方は是非いらしてください。
最後です。
お待ちしていますよ。





posted by 前川秀樹 at 20:46| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月07日

呉逍遥

 九つあるという嶺の一つから眺めると、
足元の先の裾野は常盤緑からいつしか黒鉄の地面へと変わり、
やがて穏やかな瀬戸に曳く小舟の淡い青の航跡へと繋がっている。
不思議なグラデーションで彩られた眺め。
懐かしい街。


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鋼、黒鉄、鉄錆それと旨い魚、
瀬戸と水兵さんたち。
先の戦と職人魂
戦艦とB級グルメ
ここにしかないものがたくさんあった。

ちょうど今公開中の映画の舞台にもなっている。
どこも絵になるちょっと異国のような眺めの呉。
今度来るときは写真器片手にゆっくり歩きたいなあ。
護衛艦にも乗船してみたいものだなあ。


posted by 前川秀樹 at 00:27| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月06日

呉木偶終了しました!

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初の広島県呉市での木偶の棒講座。
無事終了いたしました。

主催してくださった方も初めて。
参加者の方々もみんな初めて。
僕自身、呉を訪ねるのも初めて。

何もかも初めて尽くしの木偶の棒でした。
堅い木にみなさん悪戦苦闘、
しかし初めての良さ、というのもままあるもので、
初日と二日目の最後には呉の港を見下ろす素晴らしい夕日のロケーションをバックに
非常に個性的でユーモラスな木偶が出揃いました。
最初はただの枝だったものが、最後にはそれぞれ、
なんともその人らしい木偶になってゆくのが本当に不思議です。
やりますなあ。


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材料は呉産、時間をかけて頑張って集めてくださいました。


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お昼だ!カレーだ!



午後も頑張ります。そうじゃないと終わらないからね。

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寝っ転がって彫るんじゃありません。


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お掃除ありがとね

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着彩ですよ。これがまた難しい。

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さて、講評会です。

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広島はギャラリーたむらさんの像刻個展でご縁ができて、いつの間にか長いお付き合いとなります。
今回はそこからのスピンオフというか、培ったお付き合いを苗床に
新たな芽吹きとなって、木偶ワークショップが実現しました。
広島市内でなく少し離れた呉での開催です。
そういう何やら面白そうな匂いのする新芽には僕は目ざといんです。
珍しく二つ返事で受諾。
お話をいただいてから、わずか半年での実現となりました。
うまくいく良いご縁というのは不思議とトントン拍子で話が進むものなんです。

いずれにせよ、主催してくださる方々の熱意や実行力の受け皿あっての機会ですので、
僕の方も仕込みにこそ手間はかけましたが、
現場に入ってからは招かれるまま何もかもお世話になりっぱなし。
おかげさまで何とも濃厚な4日間を過ごさせていただきました。
今回のように首尾が全て楽しく充実の思いで終えられたことには全く感謝しかありません。

さて、呉木偶、どうやら今回が第1回、と名打つことになりそうです。
来年、第2回計画中なんですよ。

皆さま、楽しかったですか?
今頃大多数の方々が筋肉痛に悩ませられていることでしょうが、
これに懲りずにまたお会いしましょうね。
次はどんなのを彫りますか?

どうもありがとうございました。


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2016年11月30日

バウ・ルー

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 はあ?ホットサンド〜〜?
なんだそりゃシャレオツだな。
そんなもののためだけにこんな専用道具買う?
へ、しゃらくせえ!

とあからさまに小馬鹿にしていたちょっと前の僕に
今は少々反省を促したい。


結局、千恵の強い押しで購入。
いざ試運転。

八枚切りの食パンに、具はハムとスライス玉ねぎとチーズ。
二枚目は、しらすマヨ和えに細切れベーコン。

お!?おお!?
なにこれ美味いんじゃない?
これが本気のホットサンドなのか。
食感はあの食レポでよく聞く、外はカリッ 中はふんわり(笑)
とかいうやつだ。


具はピザ風、パニーニ風、サラダ風 ひき肉でピロシキ風 和風 スイーツ風 なんでもあり。
挟んで焼くので中が蒸し焼きになるのがこれのミソなのだろう。
温めているだけなのに、どんな具でもそれなりに美味しくなる不思議。
昨夜の夕飯の残り物でも挟んで焼けばそれっぽい一品になる。
この万能感。

はい、なめていました。
野あそびの時にコンロの熱があれば、温かいものが食べられ、
しかも容器要らずなので洗い物が出ない。焚き火でも多分出来そうだ。
これは外で便利だと思う。
火加減に慣れるまでちょっとコツが要りそうだけど。


なのに購入から一ヶ月あまり経過した今でも
うちでは一度もアウトドアでの使用の機会が訪れず、
インドアユース専門道具になっている。

アウトドアショップなんかで色々と吟味して、
結局一番オーソドックスなこの定番を選んだ。
イタリア商事のバウ・ルー
名前も箱のデザインもイカす。

山とか海辺で活躍するのはいつになるのか、、、。


明日12月1日から広島行き。
初の呉木偶ですよ。




posted by 前川秀樹 at 16:41| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月24日

にいなめさい

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あなた、ちょっとそこに にいなめさい 。
ではなく、新嘗祭とは宮中行事で収穫感謝祭だ。

 山友のサンペイくんの本業は山岳ガイドでは決してなく、
ヒヨコの鑑別士なのだが、年に一度の全国技能競技大会で昨年、なんと優勝してしまった。
同時に農林水産大臣賞を個人で受賞した。
大変に名誉なことだ。
そういう名誉を冠する全国各県の農水産業に携わる方々が、年に一度招待されるのが、
東京、明治神宮でのこの新嘗祭だ。
ちなみにサンペイくんは栃木県からの参列。

で、彼に誘ってもらって、僕と千恵も同伴者として何食わぬ顔で参列させていただいた。
なかなか無い貴重な機会だし好奇心で。

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境内のどこを見てもお供え物だらけ。さすがの収穫祭。

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過積載で沈没必至の作物船。
帆が葱

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宮司さんたち入場。
参列者400人って言ってたかな。
葱さんに、いや禰宜さんに説明を聞いている間もじわじわ足元から冷えが....。
寒い。最後まで耐えられるだろうか。

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どーん!と始まりの大太鼓が響く。
楽師さんの笙の音がそれまでの会場のざわつきを細く鋭く、収めてゆく。
大きな音ではないのに、脳に直接来るなんとも耳から離れない奇妙な粘度がある音色だ。

風が吹いた。
緑青色の破風ごしに見えていた楠の葉がざあっと揺れた。
続いて、屋根の左の葉がざわりと強くうごめく。
ざわりざわりと、
何だろう。

多分、単にこちらの注意力の問題。
会場が静まったから、そういう些細なことに気がついた。
それだけのことなのだ。
しかし、舞台が整えられ、上手に場の雰囲気に飲まれると、
僕みたいな単純な人間は、そうは捉えられなくなって、

「おお、今、ナニモノかが降りた」

と解釈してしまう。

もっとも祭り事というのはそんなふうに素直に雰囲気に飲まれる方が、
作法として理に合っている。と思う。

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巫女さんたちに衣装も、これまた見た事のない雅なものだ。
シルエットも仕草もこれはモチーフは
鳥なのかもしれない。
巫女さんは4人。
4、安定の数字。中心を作らない。四神。 方位。 他は何だろう、、、。
まあなんか全部に意味があるのだろう。

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11月にある収穫祭、刈り取りの終わった田んぼに降り立つ渡り鳥なのか、
そんなことをぼんやり幻視してたら、突然本殿の上の空にざあっとカラスの群れが舞った。
うん、惜しいな、カラスか。

とはいえつい忘れてしまいがちだけど、ここは東京のど真ん中、
山道を抜けて大鳥居を出ればすぐに原宿駅、
キャストにカラスはやむなし。か。

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式典は1時間足らず。
粛々と儀式は終了。月並みだが何とも神秘的な時間だった。
境内のあのざわめきは本殿前にはない。
こちらとそちらは違う場所ですよ、
という言葉なき空間分別を結界という。

ここを出れば全く何事もなかったかのように、また日常がある。
ハレとクモリとケ。
参列者の心を切り替えるのがマツリというけじめなのだ。


それにしても、冷えた。
今夜は東京で11月にしては50数年ぶりの初雪になるという。
僕らはこの後何もないけど、サンペイくんどうするの?

今日はこの後、岩手まで行って明日そこで鑑別です。

うわあ。多忙だなあチャンピオン。

しっかりにいなめさい。

お誘いありがとね。















posted by 前川秀樹 at 17:40| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月16日

初冬の津軽 その2

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鉛色の空、砕ける波頭、頬を打つ潮まじりの寒風、時折容赦なく背中を打つ雨礫。
手がかじかむ。



こんなところで何をする?

そんなことは決まっている。

石を拾うのだ!



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はい!今日はこのポイントで探すです。寒さが耐えられなくなったら各自、車に避難。
さあ散って散って。


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石もフグも渾然一体。



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ニハルはもう大喜び。初めての海で走る走る。

が、次第に誰もかまってくれなくなって、、、



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おいてきぼりな立場に。ほら、皆集中してるから。ここは空気読むのも経験だから。


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石浜に流れ込むほんの小さな沢に、鮭が遡上しようとしていた。
こんな小さな沢で生まれたの?本当に?
あなた、どこかと間違ってない?
だって他に来てる鮭いないじゃん。
多分お腹にはイクラたっぷり。
でもまあ、今、僕らそこまでワイルドな旅じゃないから、
捕まえたりしないよ。安心してくれ。
手助けはできないけど応援するよ。
間違いじゃないなら、あと少し。頑張れ。


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すごい風景だなあ。
北の果てだなあ。


さて、一休みしましょ。
珈琲でもいれて。


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かまってちゃん犬を尻目に
ああ、珈琲美味しい。土器さんが持ってきてくれたAPOCのクッキーいただきましょう。
青山の味を青森で。あ、昨夜五所川原で買ったベルギーチョコもあるよ。
それとさっき道の駅で買ったしじみせんべい。
何処なんだここは?


ところで皆さん成果はいかがですか?

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こんな感じ。

おお、メノウが結構あったね。

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最後に記念に一枚。



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土器さんを空港に送る途中で立ち寄った、十三湖そばの道の駅でお昼ご飯。

やっぱりここは定番「しじみラーメン」でしょう。
あっさりでコクスープに細ちぢれ麺。
中華でもなく、お吸い物でもない。
なんとも上品な滋味あふれる美味しさがある。

十三湖は入口を日本海に開いた汽水湖だが、
海でもなく川でもない、混ざり合う“あわい”というのはなかなか奥深い。




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重なる石を手でガラガラとさらうと、また違う顔の層が現れる。
またさらう。また別の石達が表情を醸す。
未知のページをめくるようで、先が見たくて何処までもめくり続けたくなる。

 
 冬が始まる津軽の風景もまた良かった。
青森市内の棟方志功の記念館にも立ち寄った。
そこで流れていたビデオ。


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 広いただ広い真っ白の平野を吹き抜ける地吹雪。
海も地平も空もその境目をなくして全てが白と鉛色に帰してゆく。
びょうびょうとやむことのない風の音に、
高橋竹山のたたきつけるような強い津軽三味線の音が重なってゆく。


これが、長い冬の津軽のスタンダードの景色なのだろう。


一度来てみたいような、恐ろしいような。
石がきっかけであったけれども、そこからこの土地の奥行きに
気が付き始めて、もっと覗いてみたくなる。


 地蔵が多い。
五所川原近辺の田畑の周囲に雪囲いを施した地蔵の集団が沢山ある。
人の数よりも多いかもしれない。
どの地蔵にもおしろいが塗られ、化粧が施されている。
化粧地蔵と呼ばれる。
それほどまでに子供がたくさん死んだ時代があった。


縄文時代は大変に豊かだった。
古代、中世とまだ豊かだった。
ロシアや大陸との交易で大変に栄えた港もあった。

けれど近世。豊臣から徳川の時代。特に江戸期。津軽は貧困にあえいだ。
米を作らねばならなかったからである。
当時は米がすべてであった。米が金と同等だった。
いくら平野があろうとも、約5年に一度は訪れる冷たい風
「やませ」がもたらす冷害のたびに
人々は飢えた。飢饉をこちらでは「けかち」と呼ぶ。

交易や林業、漁業や狩猟でそれを補えば、けかちは免れられたであろう。
米だけを作るから飢饉がある。
しかし、中央との繋がりや協力なくしてこの地は成り立たない、と考えた
津軽氏は代々にわたって、何かに取りつかれたようにひたすらにコメ作りを推奨した。
土地の生産可能な能力をはるかに超える、不釣り合いな石高を毎年幕府に納めた。
相当な無理を強いた。土地にも人々にも。
だから津軽藩の城 
弘前城は四万石から一〇万石の石高では考えられないほど造りが立派だ。
ひっそりと群れたたずむ化粧地蔵達と華麗な桜花の城のアンバランスさこそが津軽だ。



 そういう富裕と貧困の交互層を足もとに踏みしめ、
複雑な事情を心の内に秘めて、この風土で人々は生きて来た。

 棟方志功のあの狂気的に強烈な線はその厚い層を貫き通して、昭和の時代に咬み付いた。
今回、そのあまりにてらいのない延びる線に、僕はたじろいだ。
恐ろしくなった。喉がやけに乾いて何度も唾を飲み込んだ。



 今回は三内丸山遺跡にも足を運んでみた。
大ホールとも呼ぶべき竪穴式住居の威容に飲み込まれそうになった。
奥深いと思う。
次々と層を知りたくなる。


 いつも泊るホテルに白髪の送迎運転手さんがいる。
鼻筋がしゅっと通っていて、なかなかのハンサムだ。
ホテルは繁華街からちょっと離れているので、
頼んで車で連れて行ってもらう。
そのおじいさんの津軽弁の抑揚がなんとも好きだ。
全部に節があって、謡うようにはなす。

「昨夜はずいぶん降っでたがら、出かけられなかったのでしょう」

そういう意味の短い文章に節が付く。
文字では残念ながら再現できない。
ふつうのはなしことばが民謡のようだ。


朝、ご飯をよそってくれるおばちゃんの声もいい。
バイキングスタイルなのに丁寧によそってくれる。
背筋がしゃんと伸びていて、いつも赤いセーターを着ている。

「はい、お粥たっぷりだったね」

「行っでらっしゃい」

なんだかそれだけで耳が暖かく嬉しい。

 さて今度は津軽から何を学ぼう。






















posted by 前川秀樹 at 18:00| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

初冬の津軽 その1

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また林檎の国津軽までやって来た。
もはやナニモノカに取付かれているとしか言いようがない。
前に来たのは初夏。林檎の花が終わりかけていた。
景色は一変。
たわわな赤果の隙間をつめたい風が吹き抜けている。



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残念ながら天気には恵まれなかった。
秋の空と冬の空が入れ替わる丁度今週はその端境期といったところ。
毎日晴れとにわか雨。かと思えば霰が地面を打ちつける始末。

岩木山もなかなかその全容を現してはくれない。

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何処を見ても林檎リンゴりんご。
無人販売所もあちこちに。3個で100円。
産地なんだなあ。


産地だからこんなのも売っている。


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各農家さんが作っているのだろう。
美味しい、が甘い。ほんとの100%ってこんななのか。
ジュースとしてよりはシロップ的な使い方が合いそうだなあ。


他にも道の駅はにぎやかだ。


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お土産とか、お昼の食料を物色中の二人。


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可愛い。何だろうね、巻き寿司?

幸い雨は上がったので浜に出てお昼にしようかね。


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人っ子一人見当たらない海岸。
寒いー!
早く食べないとご飯もなにもかもうっすら砂をかぶり始めているよ。
そして、豆おこわも巻き寿司状のものもいなり寿司もキャベツを巻いて甘酢に漬けたものも、
全部甘い。
まあこれはこれで美味しいけれども・・・。

ああでも、今夜はスウィーツじゃなくて熱々の何かを食べることにしよう。



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やっと岩木山見えた。



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そうそう、こんな感じが欲しかった。
五所川原の居酒屋「釣吉」

魚がおいしい。味付けもいい。盛りがすごい。でおまけに安い。
定番のお造り盛り合わせから
ホタテの大きな貝殻を皿にして、味噌とか出汁とかとき卵とか、を混ぜて焼く
貝焼き味噌。ここのはアワビが入ってた。
さんまの揚げ浸し。
鰺のなめろう。
サービスにスズキの頭の唐揚げを出してくれた。
etc・・・・・・

油断してた。
テーブルから皿がはみ出てしまった。
どれも白いご飯との相性抜群に違いない濃いめの北国の味付け。
なのにご飯ものまでたどり着くことはとうとうできなかった。
こういう場所では、まず3品くらいたのんで様子を見るのがいいんだな。
誰も止める人が居ないんだもの。
3人しかいないのに。

日本酒にはどれもぴったりだったな。
さて、暖まった。
今日はこれまで。また明日。




posted by 前川秀樹 at 16:22| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月14日

セキニンとハリアイ

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うちに新しく同居犬が来てひと月になる。
生後6か月のオーストラリアンラブラドゥードゥル(長い!)の雌。
名前は「ニハル」

先代のラブラドールのチャイは表情が極めて豊かで自己主張が強く、食欲も常に旺盛で、
何事にも物怖じしない勇敢な犬だった。
それに比べてニハルは穏やかで、甘えん坊、臆病で なんでも控えめ。
正反対の性質と言っていい。
個性というものが非常に顕著に表出するのが犬という動物なのだ。
だから面白い。


今日も朝5時にむくっと起き出し、
寝ている千恵に、激しいボディーアタック&ジャンプを繰り返す。
「起きて! 遊んで!」
かなりのハードタイプ目覚まし時計だ。
ちなみになぜか僕の方にはほとんど来ない。

17年生きた先代チャイが亡くなってから2年余り。
約2年間、ぽっかりとおおきく抜け落ちた穴は、切なくはあったけれど、
同時にホッと気楽だった。
 
 再び犬がこちらの暮らしに入りこむことによって、束縛や制限はできる。
けれどもただ愛情を一心に向け続ける対象が暮らしの中に存在することは、
甲斐があってやっぱりいいことだなと今また思う。




posted by 前川秀樹 at 07:47| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月02日

秋木偶 参加者募集のお知らせ!

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お待たせしました!
恒例 秋の木偶の棒ワークショップ。参加者募集です。
今回で第19回目となります。思えば長く続いたものです。

日程は9月24日(土)25日(日)。
場所はいつもの青山DEE'S HALL にて。


始めてなのですが、大丈夫でしょうか?
不器用なのだけれど、参加できるだろうか?
彫刻刀なんて小学校以来なんだけど、、、。
と迷っている方でも、尻ごみする必要はありませんよ。
なに、たいていどうにかなるものです。

作品をつくらなければ、と気負わずに、秋のはじまりの一日二日
無心で自然の木の枝を向きあって格闘してみると、
色々と意外なことが分かるかもしれません。
僕自身は、来る日も来る日もそうやって過ごしているんです。

さて、今回の募集開始は

9月5日(月曜日) からです。
DEE'S HALL のHP、EVENTに諸々の詳細とお申込みメールフォームが5日にアップされますので、
そちらをご確認の上、ぜひお申し込みください。
道具をお持ちでなくとも、こちらに全部そろっていますので、
基本的に手ぶらでも大丈夫です。
土器さんのつくるランチも絶品ですよ。


それでは今月末に、青山でお会いしましょう。


posted by 前川秀樹 at 22:55| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月22日

通過中

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台風9号が丁度、今まさに真上を通過しているらしい。

台風の目の向こうに青空が見えて、風が向こうとこっちで逆に吹いている!
みたいなのを期待していたけど、
家の窓から見上げている限り
なんかそういう空の異変はぜんぜんなかったな。


にしても猛烈な雨風だ。
時折風の塊がずどんと2階の壁にぶつかって窓がきしむ。
地震かと思ってその度身構えてしまう。
防災無線は、市内に停電が発生している様子を伝えてくる。
川の様子は見に行かないように、とも言っている。
見に行っちゃう人が実際居るんだろうな。 
足を運んでもつい見に行きたくなるのが異変。
様変わりした一時の風景。
人ってどうして危ないことをしたがるのか。
いや、好奇心のせいで危険を具体的に知らないことを忘れてしまうんだな。
うん、禁止されればされるほど見に行ってみたくなってきたなあ。

・・・・・まあ行かないけど。

低反発素材製の彫刻家だから。

でもこの閉じ込められている感はもやっといやなものだ。
とっとと行っちゃってくれよ9号。



posted by 前川秀樹 at 17:04| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月10日

瑠璃色と旧交

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 今から、10年以上前だったか、
大学で同期だったヨシカワ君(僕は下の名前でタミちゃんと呼ぶが)
は、カミキリ採集を始めた。
あこがれのカミキリムシは鮮やかなセルリアンブルーに大きな黒の水玉、ルリボシカミキリだった。
当時、彼の携帯電話のアドレスもruriboshiだった。

時が経って、3年ほど前、僕の個展に来てくれた時に聞いてみた。

「その後ルリボシは見つかったの?」

「いや、実は一度も見てないんだ、結局学生の頃、白馬で君と見たやつが唯一で最後だね」

なんと!だとしたらそれはゆうに30年も前の記憶の残像ということになる。
僕と彼は学生の頃、白馬の山荘で夏中バイトをした。
その時に確か薪置き場で僕がそれを見つけたのだった。
個展会場で会話をした時点では、
すでにカミキリ熱はすっかり冷めていたタミちゃんであったけれども、
ルリボシだけはよほど心残りだったと見えて、
僕が、
「いや、行くとこ行けば今も居るって、夏に捕まえに行く?」
と言ったら、二つ返事で「行く」となった。

けれども彼は今やかなり成功した部類の画家であり、とにかく多忙なのだ。
僕とも夏の予定が合わず、なかなかその約束は実現しなかった。
お互いアラフィフとなった今、昔のように気楽に遊べるはずもない。
まあ、そんなものか、と僕は半ば諦めかけていたのだけれども、

それが先日、ひょんなことから叶ったのだった。

すっかりおっさん同士になってしまった二人の日帰り冒険である。
とは言え彼にしてみればやっと取った休み。
ガイド役の僕としてはなんとか口先だけでなく、
結果を残したいとプレッシャーがかかる。
色々と考慮した結果、行き先は栃木方面に決めた。

いるかなあ、いるはずなんだけどなあ。
特別地区や特別保護地区の多い栃木の山間部。
それを避けながらの有力ポイント設定はそれなりに手間がかかる。
もっとも時期的にも全く問題ないし、盤石のコースラインナップのはず。

しかし、

居ない。
早朝から廻った最初のいくつかのポイントでは気配すらない。
山で伐採された広葉樹が積み上げられた場所を土場と呼ぶが、
そういうところにカミキリムシは産卵にやって来る。
産卵にやって来るカミキリムシの活動が最も盛んになるのは夕方だが、
午前中はじっとその上に止まったままの姿が見られる、
はず。
なのに、
ターゲットのルリボシカミキリどころか、
他にも見られるはずの幾種類ものカミキリムシの姿も全く無い。
なんというかあっちもこっちも、からっからに乾燥している印象なのである。

雨、降ってないんだなあ。
ダムを覗き見れば見事に底の泥は深くひびわれたあり様。
首都圏が取水制限もされるわけだ。

昆虫の気配の無さはこの乾燥と無関係ではあるまい。
おまけに、どの林道もどの沢もなぜか大規模に補修作業がなされている。
ああ、そうか、そうだった。大規模豪雨。
昨年9月、あの常総市の鬼怒川堤防を決壊させた豪雨が集中したのは、
上流のこのあたりなのだった。
道理で荒れ方がひどい。

生き物の生息環境に少なからず影響があったとしても不思議ではないのだ。
結局、午前中廻った何処にもその姿は見つけられなかった。

「どうも、今日は見つけられる気がしないよ」
「うん、そんな感じがして来たよ。また来年チャレンジかね・・」

「まあこれが現実ってやつかね」
「そうだね、上手くいかない方が当たり前なんだよね」

すっかりダウナーな二人の中年。
半ばあきらめムードで沢沿いの蕎麦屋でもりそばをたぐる。

あと一か所が大本命ポイントで、もしそこで見つけられなかったらもう今年は無理ってことで
反省会ね。
ああ、大見え切ったのにどうにもばつが悪いなあ、すまんタミちゃん。
と心でつぶやきつつ、ラストポイントへ。

でも、無理だなあ、と落ち込んだところにピンポイントヒットするのが、
ドラマのお約束。
その落差があってこその感動。
現実も捨てたものじゃない。

居ました!
あっちにもこっちにも。


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やー、居たね。実に30年ぶりの再会だ。

セルリアンブルーよりはやや淡く、ブルーグレーよりはずっと鮮やかな瑠璃色。
空の色、水の色。
青ははかなくて遠い。そしてせつない。
緑色の昆虫はいるが、青い色の昆虫はなぜか非常に珍しい。
やっぱりこのカミキリムシは特別な昆虫に思えるよ。


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採れた?  うん、動かないから楽勝。

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「やっぱりね、失敗の後の成功体験って必要だよね」

とタミちゃん。
よかった。ミッションコンプリート。僕の肩の荷が下りた。


さて、あとは温泉につかって明るいうちに帰ろうよ。


 ああ、昔、良くこうやって一緒に遊んだっけね。
風呂の無いアパートも一番近かったしね。
思いだす。
車中色々な“今”の話をした。
ゆっくりのこんな時間は本当に珍しくて懐かしい。
でも互いに昔通りのことなんて一つもない。
彼だって、今やすっかりお父さんだ。
学生じゃなくなって、もう四半世紀の時が過ぎてるんだもの。
それでいいと思う。その方が楽しい。

 久しぶりに会っても過去の話にばかり花を咲かせる旧友に僕は冷めてしまう。
昔話にばかりどうやって笑っていいのか、なかなか思いだせないのだ。
だから同窓会というものが僕は元来苦手だ。
過ぎ去って、もうどこにも無いものを今さら温め直して何になるというのだろうか。

“今”と“これから”の話ができる相手とだけ温める価値のあるのが
本当の“旧交”というものだと僕は思う。
いたずらに古きを温めても、新しきを知る意欲が無いならば、片落ちだ。
賢者は和して同ぜず、愚者は集えども和成らず。
ともいう。
離れていても時間がたっても、
“今”というピントを瞬時に合わせられるのが
僕には理想的関係で、自分自身の望む、寄りかからない立ち方に思える。
賢者にははるか及ばなくとも、そうありたい。



ルリボシカミキリの遠い青を目に焼き付けつつ、
46℃の高温の湯に二人同時に身体を沈ませて、思わず声が漏れる

「あ”〜〜〜〜〜熱い!」

それでいい。











posted by 前川秀樹 at 22:40| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月27日

行くぜ東北!セルフキャンペーン その4

最後は東北旅徒然。
思ったよりも写真を撮ってなかったなあ、
でもどこも色彩の美しさには本当に改めて新鮮な印象を持った。


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冬は北西から、夏は南東から、季節風が常に吹き付ける竜飛岬。
今日は南からの湿った風が山に当たって雲になって、
ずっと霞んでいる。
風下に当たる日本海側はだから穏やかなままだった。


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おお、カメノコテントウ。
久しぶりに見た。やっぱり大きい。


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そういえば、6月の北海道もこのフランスギクが満開だったなあ。


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こう言うところから石が生まれてくるんだねえ。
でもこういう水気の多い所って・・・・・


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ほらな、こういう危ないのがじっと獲物を狙ってたりするから要注意だ。
マムシも久しぶりに見た。
けんのんけんのん。


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白神からの帰り道、JAショップを見つけたので立ち寄ったら、
あったあった、ご当地アイス。種類がものすごかった。
迷いに迷って、この2本。
でも、二人でどちらか一本でよかったかな。
すっかり身体冷えてるの忘れてた。



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陸奥の果ては茨城からでもやっぱり遠い。
茨城空港 青森空港間の飛行機便が就航してくれればいいのに。
車だと茨城の家から青森まで約9時間。
旅程のうち前後二日間はほぼ移動だけになってしまう。
若いころは平気だったけど、二人で交替で運転しても
けっこう疲れるようになってきてしまった。
というより飽きる。
とはいえ、うちのスタイルとして、
融通がきいて、好きなところで立ち止まることができる、
自分の車が一番適していることも否めない。
陸奥、魅力的なスポット濃縮満載なことを知ってしまったから、
ぜひまた長距離ドライブで行ってみたいと思うけれども
悩ましいところだ。

おくの細道を思い出す。
松尾芭蕉はまあ、東北、北陸なので、ルートがぜんぜん違うけれども
記録によれば、3月16日江戸深川を出発して、
ぐるりと東北北陸を廻り、美濃つまり今の岐阜県の大垣に到着、再出発
したのが9月6日、約150日の旅である。
ほとんど徒歩で。
恥ずかしながら、それが早いのか遅いのかすら僕にはわからない。

歩かないと見えないことも多い。
とくに現代人の僕らはそうだ。
高速道路で早送りなんて、無粋で
たぶんいろいろもったいないことをたくさんしているに違いない。

しかし振り返ってみれば日常がすでにそうだ。
ただ過ぎる、そういうシーンは記憶にも残らず
何事もなかったことのようにするりと過ぎてしまう。

人生には大中小の結節が必要だ。
だから時々は早送りボタンを通常の再生モードにしたりスローモードにしたり
一時停止にしたり、調節できる機能が今の僕たちにも
ちゃんと備わっていることを思い出して確認しないといけない。

その時間の不均質な流れの隙間に、感動とか驚異とか美がふいに立ち現われたりする。
そういうものが最初の動機に存在しないようなものつくりはするべきでない、
とあらためて思う。
いや、そうありたい、かな。
芸術家にとって旅は休暇や休息ではないのだ。



posted by 前川秀樹 at 12:24| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする