砕ける波頭、頬を突き刺す寒風。
そんな色合いだけど、実はそうでもない。
低気圧の影響で海は荒れているけれど、
風は南から吹いてくる。
午前中仕事をして、きりが良かったので、午後からちょっと近場の海まで。
漂着物やら石ころやらを物色しながら、ただ歩く。
幾分寒さ緩んだとはいえやはり平日で真冬の海、
釣り客以外、人なんていないだろうと思っていたのに、
それなりに若い人たちがちらほら。
中にはアニメの袋を手にカメラをぶら下げた大学生らしき子たちも。
そう言えばここはとあるアニメの聖地にほど近い海岸。
誰がやったのかは分からないけど、
これだけ無尽蔵に石が転がっているんだから、つい積んでしまいたくなる気持は分からんでもない。
まあただ来てもやることないよね。
茨城から千葉あたりの海岸は、砂浜か岩礁のどちらかがほとんどなんだけど、
こういう石浜もまれにはあって、
だんだんと岩石や鉱物の種類がわかって来ると、
手にして、ハンマーで割ってみて、見て歩くには楽しい。
歩くこと2時間足らず。タイムアップ。
そろそろ暗くなって判別が難しくなって来たよ。
本屋にでも立ち寄って帰りましょう。
成果はこんな具合。
赤いのはチャート(堆積岩)と、碧玉。ここは碧玉が主流みたい。
碧玉とはいわゆるレッドジャスパー。
赤いのに碧という名前なのは、緑のもあるから。ちなみに緑のものは出雲で青石として、
勾玉なんかが今も作られている。
透明っぽいのが瑪瑙。見かけは全くの別物なのに、
組成はジャスパーと全く同じ二酸化ケイ素 sio2。鉱物の生成の違いもあるけど
鉄が交じるととりあえずなんでも赤くなる。
ちなみにこっちは千恵採集。
僕と違っていろいろほしいわけでなく、瑪瑙とか桂化木とか珍しいもの限定にロックオン。
瑪瑙は堅いので、丸くなるのに多分時間がかかる。
丸いのが見たいんだけどなあ。
こんな無機物を見て愛でてうっとり耽溺出来てしまうのは、
一種のフェティシズムと言える。
フェチ、マニア、オタク、コレクター。
混同されがちだけれど、モノに対するアプローチや動機において
これらは明快に異なる。重複することもあるから、名前は多分、
個人の性質を指すものではなく、
モノとどう関わりを持つか、という関わり方を指す分類といってさしつかえない。
いうまでもなくどれにも該当しない方々にとっては、
まったくどうでもいい分類だ。
で、僕の場合はたいてい、
行為そのものにとことん深入りすることはなくて、
うっとりしつつ、こんな美しいもので何か作れないかなあ、となる。
フェチとアートの重複である。
ただアートというとぼんやり範囲が広すぎるので
丁度言い得た言葉をずっと僕は探している。
自分なりの理想の関わり方を言葉に表すのは難しい。
さて、ともあれ木と違って石はなかなか頑なですよ。
関係を築くにはまだまだ難関多しです。
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