

先週の金曜日。冷たい雨のなか、横浜に出かけた。
横浜美術館で始まった村上隆スーパーフラットコレクション展。
初日30日の前日、その開会式と、内覧会がありますよ、
という招待状をいただいたので、
土器さんと仲田智さんと3人でお呼ばれしてきたのだ。
開会式で逢坂館長の、今日午前中まで倉庫からここまで出品作品を運んでいました、
と、疲労をにじませながらの挨拶に、
これを準備してきた沢山の人達のご苦労、奮闘がしのばれる。
大変だったんだろうなあ。
ところでこれは、普段いったい日本のどこに保存されて居るの?
量も大きさも。素朴な疑問。
多分どこかの倉庫にはさらにこの何倍も・・・。
そこからセレクトされて、ここに凝縮している。
骨董から現代作家の作品から80年代のアニメフィギュアまで、
その価値の凸凹ちぐはぐが、村上さんの脳内で見事に並列化されている。
まさにスーパーフラット。
正直、これらが個人の所有物とはとても思えない。
まるで一つの都市規模が管理する共有財産のようだ。
それで、このとてつもないコレクションの一部を、ほんの一部を担う感じで、
僕と仲田智さんの作品がささやかに出展されている。
写真は入り口で、名札と生コサージュをつけてもらって、
内心おどおどの不慣れな二人の図。撮影する土器さんは嬉しそう。

てれてれ。
それにしても、連動して森美術館で開催中の話題の五百羅漢図展とあわせて、
改めて、村上さんの底の見えない大熱量に僕は慄然とした。
いや、村上さん、というよりも村上隆と呼ばれる人の型の器をした、
エネルギーの塊。と形容した方がより近い。
そう言えばこれらの制作準備もしながら、丁度1年前の2月にはギャラリーズ・アイも
やってたんだなあ。
一人で倒れるまで頑張るよりも
複数の人をまとめて同時に動かし続けていくことの方が莫大なエネルギーを要する。
才能っていうとちょっと話がずれてしまいそうだけど、
熱量というのはもう持って生まれた、
としか言えないもののような気がする。
自動車やバイクの排気量があらかじめ決まっているように。
50ccのスクーターの車体にハーレーの1801ccのエンジンは搭載できないし、
50ccのエンジンに、ハーレー並みの性能を期待しようともそれは絵空事だ。
少年バトル漫画じゃあるまいし。
とはいえ、大は小を兼ねるというのが
必ずしもものごとの真理というわけでもないように、
これはそれぞれのステージにはそれぞれの特性があるよ、という話だ。
ただ残念ながら、人にはメーカーの取扱説明書は添付されていない。
設定された基本スペックはあらかじめ知りようがないのだ。
これが厄介なところ。
自分のスペックを推し測り、
現実的に特性を最大限発揮しようとするならば、
自身への過大評価や過小評価のバランスを保ちつつ
自身のもつ思い込みや偏見に向き合い、
その時々のコンディションや、将来への延びしろを適正に認識、判断する。
それが出来るなら、
というのが前提だけれども(笑)
こりゃ難しい。
せーかいにひーとつだけのはーな〜♪
ひーとりひとーり違う種をーもつ♪
とか口ずさんでみてもこれはやっぱりそんな簡単な話ではないのだ。
多分ナンバーワンになるよりもずっと難しい。
そう言えば、
NHK日曜美術館で丁度スーパーフラット展をやっていたのを見逃してしまった。
来週、7日 20時からの再放送で観ようっと。
【関連する記事】