2015年07月16日

外はムシムシ中はヒンヤリ

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数日前の夕方のこと、
体の準備が整う前に突然やって来た猛烈な暑さに
ぐったり気味のところにメール。

「明日、日光 男体山に登りませんか?」

いつものサンペイくんから、
うむ、お誘いありがたし、
天気も回復傾向、山には登りたい、身体は動かしたい。
だがしかしなあ・・、確か男体山って、標高差1000mを、道のり5qとかで登る
直登ハードコースだったのでは・・・。

ちょっと、うーん。。。右膝に心配もあるし、準備も間に合わないし、
悪いけど今回はパスかな。

「ならば、自分の下山後、午後大谷石資料館で待ち合わせとか」

あ、それはなんか涼しそうな素敵プラン。
そこなら行きます。

で、その日は午前中だけ仕事して、午後に栃木県の大谷石の採掘場跡
大谷石資料館へ。

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地下の大空間へ降りると、気温10℃。なんと地上との温度差20℃。
半袖 上着なしは完全に失敗。
冷える冷える。
とはいえ、差し置いても迫力のあるスケールの空間を堪能できた。
足し算をしていくことで構築された建築物ではありえない。
すでにある地面から長い時間を掛けて引き算だけを続けることで、
出来上がったとんでもない人工洞窟。

現在ではコンサートや展覧会、映画やPV撮影にも利用されているらしい。
なるほど、そういうのにはうってつけの空間だ。

とはいえ、何事も過ぎたるはなんとやら、
いかんせん大きすぎる。
映像や音楽ならば良くても、彫刻や絵画には向いてないかなあ。
途中、仮屋崎省吾さん?字が違うか?の竹を使った巨大な(はずの)生け花めいたものが
神秘的(になるはずの)に青い光でライトアップされていたけれど、

う〜ん。なんか、なんというか。
申し訳ないが
しょぼい。というかそう見えてしまう。
青い光がいかにも安い作り物めいて、切ないったらもう・・。
作品それ自体は普通に相当大規模の造形物なのに・・・・。

舞台とのスケールが違いすぎるのだ。
ここは 西洋の大聖堂に比される事もあるようだが、
祈りの為という意図のもと作られた大伽藍で、有るべきところに配置された彫刻物と、
ただ石を切り出すという意図のもと、意図せず出来上がった大伽藍に後付けで置かれたそれとでは、
空間のなりたちと造形物との関係が正反対といっていい。
要するに後者は、後の侵入者の意図にはちっとも優しくないのだ。
結果、演出も何もあったものではない、脆弱な異物 
としてしか存在することが難しい。
光も壁の作りも天井の高さも全てが異物を拒む。

ここに一体何を持ってくれば、どんな力技を持ち込めば
この巨大なうつろを僅かでも満たし、空間がこちらを振り向いてくれるのか。
もはやさっぱりわからない。
そのくらい強く、何物をも歯牙にもかけないほどの大空間だ。
見上げれば、いびつに切り取られた地上への窓から差し込む光だけがほのかに暖かい。
高い湿度で淀んだガスを刺し貫くように、天使の梯子が見える。



延々と広がる地下の凍えたうつろについ心細くなって、
順路に時折ある案内板めいたものを照らす光に、ふらふらと近寄ってみれば、
いわく、
ここでは、ジェイソウルブラザーズのPV撮影が行われました。
いわく、
ここで、板野友美のPV撮影が行われました。
いわく、
あの石柱の前でエンヤさんが歌いました。


その痛々しいまでの宣伝アピール。それに反応して騒がしい団体客の影法師たちが
またなんともそらぞらしく作り物めいている。

この、地下で観る天使の梯子という稀な奇景を
ただぼうっと眺めるためだけに
ベンチの一つでも設置してくれればもうそれだけで気が効いていて、
素直に感動できて思索、内観にはもってこいの舞台装置なのになあ。
だってこのままで他に類を見ない場所だもの。

なんてことを思いつつ、
再び気温30℃の地上に出る。
あー、眼鏡くもってなんも見えん(笑)

そのあとは周囲の奇岩、石切り場の奇景(宝庫である)をチラチラ愛でつつ、
美味いそばで締め。
早朝からのハード登下山の後なのにサンペイくんは元気だなあ。
がっつり食うね。

けっこういい午後だったかな。
posted by 前川秀樹 at 14:16| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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