2014年07月29日

本当の盛夏を知らなかった。


hokkaido 2014 7 (160).JPG


 これまで、採集を目的とした北海道遠征は、
6月と、9月 10月
印象として、さほど昆虫の層が厚いとは思えなかったし、
種類も個体数も、まあ現実にはこんなものか、
と納得しかけていた、
しかし、短い北の大地の夏がいかに爆発的に華やかなものなのかを
今回初めて思い知った。
7月の北海道はにぎやかだった。

例えば、ちょっと林道を歩いてみただけで、
ミズナラの幹はこんな具合。

hokkaido 2014 7 (154).JPG

hokkaido 2014 7 (131).JPG

なにこれ?
昼間っからこんななの!?これが普通?
ここでは、平地でも、本州では山地性のミヤマクワガタが基本らしい。
ノコギリクワガタや、コクワガタ、スジクワガタ。
居るにはいるが、少数だ。
珍しいアカアシクワガタが多数みられるもの嬉しい。

とはいえ、実は僕はクワガタ、カブトムシはどちらかというと守備範疇外だ。
それらしい木があると、癖のように探してはみるし、
賑やかに樹液にたかるさまを見るのも楽しい。
手で感触を確かめたくて、捕まえても見る。
だからと言って、自分用に採集して持ち帰ることはほとんどない。

子供の頃のあのドキドキを思いだす。そういう対象である。

hokkaido 2014 7 (254).JPG

バナナトラップというのも本で知って初めて実験してみた。
昼間、高温の車内でバナナを発酵させ、夕方に木肌に塗りつけておく。
強烈な発酵臭に樹液性の昆虫がおびき寄せられる。
というもの。

しかし、僕は夜には不覚にも寝入っててしまい、
見まわりをさぼり、朝になって行ってみたら、
あら、まあ それなりにちゃんと・・・。
効果はあるんだなあ。


そうだ、明日会うミウラさんちの一久にお土産にしよう。
もし一緒に行ってなにも取れなかったら、保険にすればいいしな。

とおもって、適当に摘んで行ったら、こんな量に、

hokkaido 2014 7 (119).JPG

結局、幸いにもその保険は使われなかったのだけど、
少しだけ、また別にお土産にして、あとは逃がしてしまおう。



さて、
その、一久との虫取りである。
夜はライトをやるからいいとして、昼間はなにを採ろうかな。
何を喜ぶだろか?と思案した結果、
とりあえず定番のオオセンチコガネにした。

早朝、宿からほど近い、程よい林道に車を走らせ、
何か所かに、ごろんごろんした固まり状の馬糞と牛糞を仕掛けておいた。

お昼に待ち合わせて、見に行ってみると。


hokkaido 2014 7 (70).JPG


やや!固まりがなんだか平らに慣らされている。
たった4時間ほどしかたってないのに。
恐るべき分解能力。
見ればおなじみの、緑色のキラキラが、人影に気づいて散らばってゆく。
糞を軽くどけると、いるわいるわ!
なんともすごい数である。
これまで僕が見た中では、一番の量だ。


hokkaido 2014 7 (75).JPG

ほら、早く捕まえないと逃げちゃうよ。
ピンセットじゃなくて、手でいいよ。
洗えば平気だから。


hokkaido 2014 7 (81).JPG

いっぱい採れたねえ。

クワガタにはかなりびびり気味の一久も、オオセンチのきらきらをみて、
きれいだねえ。嬉しい。
となんどもつぶやく。

なあ、そうだよなあ!きれいだよなあ!宝石みたいに。
この共感がおじさんも素直に一番嬉しい。



hokkaido 2014 7 (89).JPG

フキも大きい。大人に無理やり着させられて、複雑な表情の幼稚園児(笑)
コロポックルだ、かわいいよ。



 二人と別れて再び一人でニセコ方面へ。
ニセコは基本、高原地帯なので、山地性の花が満開だった。
オオハナウドもその一つ。
白いレースのように美しい。



hokkaido 2014 7 (22).JPG




hokkaido 2014 7 (257).JPG

オオハナウドの花は、ハナカミキリの仲間やハナムグリ達の好物。
これは、、はじめてみるハナカミキリ。何だろう?

hokkaido 2014 7 (25).JPG

おお、アオアシナガハナムグリ。これもはじめてみた。
居るところには居るんだ。

hokkaido 2014 7 (277).JPG

これは普通種、アオハナムグリかな、鮮やかな緑色に見入ってしまう。

hokkaido 2014 7 (144).JPG

このノリウツギにもいっぱい来てるなあ。
アカハナカミキリにマルガタハナカミキリ。

hokkaido 2014 7 (283).JPG

これはノコギリカミキリ。


採集旅行は日が経つにつれて、採集標本がたまってくる。
夏の車内の高温ではあっというまに虫は死んで、あっという間に腐り始める。
そうなると、せっかくの採集個体が綺麗な標本にはならず
無駄になる。
昆虫は、高温には弱いが低温には驚くほど強い。
冷蔵庫に入れても、休眠状態になるだけで死ぬことはあまり無いので、
新鮮さは保たれる。
だから、いかにして保冷をしつつ運ぶか、というのが、
夏の採集の大きなポイントになる。

hokkaido 2014 7 (205).JPG

hokkaido 2014 7 (208) - コピー.JPG

hokkaido 2014 7 (207).JPG

死んでしまったらば、仕方がないので、そのまま、腐らせず、
なるべく乾燥していただく。
ホテルの部屋の窓際で、まさか客がこんな作業に没頭しているとは
フロントも思うまい。


それにしても、7月の北海道。
興奮するに十分な要素が目白押しだった。
目標の狙いを変えれば、また別の層を覗くことができるに違いない。
それほど、何もかも一遍に動き出す、という感じだ。
これが、北の夏なのだ。

さて、残すは8月となったが、
きっとまた、違う舞台装置が待っていることだろう。
さて、それはいつになるのか。









posted by 前川秀樹 at 23:56| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする