2014年04月23日

四臂仕事人。

0423 (2).JPG
2014 tsutiura

柄杓をよこせー。柄杓を〜〜〜〜〜。

ヤツデの新芽を見ていると船幽霊の話を連想してしまう。
夜、鏡のように真っ黒に凪いだ水面。
小舟の船べりにまとわりつく手。
先を見れば、水面ににゅっと突き出す無数の手、手、手。
怪談の中でもとりわけ気味が悪い。

ヤツデは八手と書く。
けれど葉が八つに開くというわけではない、葉は7枚、9枚と奇数だ。
八というのは、たくさん、の意味。
八百万、八尋、八百屋、八重 八岐大蛇 etc.

昔、彫刻家の先輩と、どんな道具が一番ほしい?
という話をしていた。
丸くくりぬくのこぎりとか、蟻のように自在に潜行して彫ってゆくルーターとか、
夜のうちにやっておいてくれる小人数人(笑)とか、いろいろ思いついたけれど
結局最後には、

「自分の手がもう1,2本あると助かるよなあ」

というのに落ち着いた。

そう思う。作業の過程で、
ちょっと押さえてて、両側に引っ張って。
これ以上便利なものはないだろう。
助手要らずだ。

自身が八面六臂の活躍をするような人に見られたいとは
決して思わないけど、
作業中だけはほしい、とたびたび思う。

毎年春ににょきにょき出てきて、
夏ごろ一番活躍して、冬には痩せて落ちる。とか。
あ、想像したらやっぱり気持ち悪い、肩こりも、四十肩も2倍か。
重くて腰にも悪そうだ。
やっぱりいらないな。

posted by 前川秀樹 at 13:26| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする