
先日、お水をいただきに海沿いの大洗神社に出かけた。
僕はずいぶん来ていなかった。
境内には立派な茅の輪が。
ああ、夏越の大祓がもうすぐだった。
ふと左の方に眼をやると見慣れないものが。

なんだ!こりゃ!?

これが“聖地”かー!
大洗は、最近のアニメ、ガールズ&パンツァーの舞台として急激に
有名になったそうだ。
だから、あくまでそのファンにとってだけの
限定的聖地なのだろうけども。
そういえばやけにそういった類の看板やポスターが駅周辺やお店で
眼に着くなあと思っていた。
なるほど、
実体験できる舞台の一つ、
ファンのお参りといえばここなのだろう。
じゃあ今、町は聖地だらけなのだ。
それにしても、ただのヒノキの板に皆上手に描くものだ。
絵馬掛けはさながら、イラストの腕試しのスタジアムの様相を呈している。
願いを込めるというよりも、純粋に思いを奉納するといった絵馬のほうが多い。
うーん、限定的ではあってもこれはかえって神社の本来的なあり方なのでは・・・。
とも思う。
ちょっと調べてみると
絵馬は祈願や祈願のかなったお礼として奉納したもの、とある。
室町時代には、神社には狩野派など有名な絵師による絵馬が次々と奉納され
それを飾り見学するために建てられたのが絵馬堂だという。
なるほど、つまりこれが、日本でのギャラリーの原型なのだ。
絵や芸の出来を神前で競い合うことが奉納となったのだろう。
アニメというのはある意味で非常に現代的な形での俗絵の最先端だと思う。
いわゆる伝統とも芸術ともちょっと違うのだろうが、
少なくとも現代に力強く息づく手技のひとつには違いがない。
参拝者や聖地巡りのファンたちが増えたという大洗の町。
どうせ一時的なブームだから、と捨て鉢にならずに
これを機会に古いものと新しいものの融合、そして再生、更新の
一つのモデルケースになってもらいたいものだ、
と思う。
大洗磯前神社のご祭神は大己貴命(オオナムチノミコト)。
日本の神様は
信じられないほど柔軟で、懐の深いところがまあ一番いいところだね。

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