こうも見事な凍結はめったにない。
四駆の犬でさえスリップでへたり込むほどのつるつる路面。
がり!ぼり!ざく!
凍りついた雪シャーベットを注意深く踏み歩く。
まるで足の裏全体で煎餅を噛んでいるみたいだ。
これはなかなか気持ちいい。
霜柱とは比べ物にならない堅焼き煎餅だ。
雪と凍結で
昨夜から家に閉じ込められたみたいに感じている。
車が出せないからね。
テレビで通行止めや大荒れの各地の映像は、
それなりに珍しくて興味深いのだけど、
同時に
自分もまた自由が奪われていることにどうにも落ち着かなくなる。
するとどうでもいいところに出かけたくてしょうがなくなる。
本屋とかジャスコとか。
昨夜も半ば本気で、装備を固めて徒歩でコンビニまで行こうかと思った。
普段いつでも行けるだろうに、
そこにすら出かけられない状況というのは、
要するに
軽度の日常の消失なのだ。
だから、とりあえず取り戻したくなる。
思えば、うちの場合ゴールデンウィークやお盆の時もそうだ。
とにかくどこに行っても人人また人。
道路も渋滞。
しかたなくその時にはじっと籠って仕事をする。
かくれんぼみたいに。
しゃがみこんで息を凝らし、
頭の上をオニの通り過ぎるのをじっと待つのみ。
だから僕にとって、
昨今のお盆期間の分散化はあまり好ましい傾向ではない。
今日はアトリエのストーブの灯油だけは買いに行きたいけど、
うちのノーマルタイヤの車じゃ坂が怖いなあ。
なんとか今日中に溶けてくれ、アイスバーン。
本屋とガソリンスタンドとコンビニに行きたいから。
【関連する記事】