広島、ギャラリーたむら 早いもので間もなく折り返しを迎えます。
初日をはじめ、おかげさまで沢山の方々においでいただいているようです。
僕は結局10日、11日、12日、13日、とちょこちょこ4日間ギャラリーで
皆様をお迎えすることができました。
遠くから足を運んでくださった方も。
1年と8カ月ぶりに迎えてくださった広島の方々も。
本当にありがとうございました。
御縁に感謝いたします。
さて、スマリ。
遠く離れた土地で、故郷を思う。
過ぎて決して戻らぬ事を思う。
住まう場所をやむなく離れる、あるいは自ら。
変わってゆく地上。
一向に観えぬ行く先。
ためいきを一つ。
ふと夜空をみると、
変わらず瞬く群れ星、スマリ。
今回は多分、“望郷”がテーマだったのだと思います。
タイトルにもそうしたニュアンスのものがとても多い。
3・11から丁度9カ月。
作品作りと、未だ生々しい大事件のモティーフとは
なるべく距離を置くように心がけたのですが、
そうした感情は今
どうしても自分の中の深いところから
ひそひそと呼びかけてくる声のようになっています。
変わらないもの、そんなものはきっと存在しないのでしょう。
星たちですら。
けれど、自分の生まれる前も、
いなくなった後も
とりあえずそこに何食わぬ顔をして、
あり続けるだろうものを眺める。
すると時折不意にすっと視界が広がる気がしたり、
数時間後の明日、のことではなくて、
もうちょっと、いや、もっとずっと先の事を想像することが
出来るような気がするのです。
12月10日。深夜。
白熱球を通して見る有精卵のように、
鼓動の聞こえてきそうな、
赤くやわらかな天体を見上げながら
ふとそんなふうに思ったのでした。
見れば、歳の瀬の寒空の下、
広島の町の大通りで、
言葉少なな人々の群れが
皆同じものを見上げ、あちらにもこちらにも。
こんな町の風情もきっと珍しい。たぶん今夜だけ。
通りがかる他人同士が、
短い言葉を掛け合ってる。
ホテルの女性従業員達と、酒びん片手のおっちゃんが、
もうちょっと!隠れた!
なんて言いあってる。
僕も、故郷でも今の住まい所でもない町で、
そんななかの一人としてそこにいました。
ポカンと口をあけて。
新たに出会えた御縁と、展覧会の会場でだけお会いできる
親しくなった知人たちと。良縁奇縁悲喜こもごも。
その日1日で出会った沢山の人の顔をまた思い浮かべながら。
改めて、
ありがとうございました。
お会いできた事に感謝です。
さて、とはいえまだまだ後半はこれからです。
会期は25日までです。
写真集VOMER,物語集ZUFREともども、
会場でご購入いただけます。
サインも入れさせていただきました。
広島近隣の皆さま、お時間がありましたら、
ご覧になっていただけると
嬉しいです。
ちょっとだけ、冬の空に瞬くスマリの光のことなど
思い浮かべつつ。
是非。