ワークショップが終わって、翌々日、
夕方の飛行機まで時間があったので
槇塚鉄工所スチールファクトリーの
マッキーこと槇塚登君が、イイダコ釣りに誘ってくれた。
彼は今回もワークショップの参加者でもある。
朝6時港で二人で待ち合わせ。
海はべた凪。
船の操縦も彼は慣れたもの。
ピンク色の玉と鉛のおもりと返しのない針が一緒になった疑似餌を、
船べりから
ぽちゃんと放り込むだけ。
後はそれを、海底でちょこちょこ動かしてやれば、
面白いように釣れる。
うん、これは、面白いな。
次々かかる。
船が潮に流されて、ポイントが常に移動しているにも関わらず、
どこでも同じようにかかる。
「一体この海の底はどんな状態なんだろか?」
「砂の上に延々とびっしり蛸だらけなんですかねえ、、。」
薄曇りの朝日を背景に、なめらかな水面が極限まで磨きこんだ金属のようだ。
時折、そばを通るフェリーや
本職の漁師さんたちの舟影を眺めながら釣り糸を垂れる。
愛おしくなるいい時間だな。
アオリイカ
そのあと、向かいの女木島と、男木島の岸辺に近いポイントで
アオリイカにもチャレンジした。
が、こちらは少々テクニックと経験が必要らしく、
マッキーは5杯のイカを釣り上げたが
僕の竿にはとうとう一杯もかからなかった。
これは次の宿題だな、
蛸と海の上ののんびり時間だけで、
僕は十分の大満足。
癒された。いろんなものが洗い落とされるようだ。
ああ、潮(塩)風の御清め効果だったのかも知れないな?
改めて思ったけど、
船って自由だ。
車のように道の上をなぞらなくていいし、
渋滞もない。
燃料を入れてやれば、
沖に見えるあの島にもその向こうの島にも
好きな時に行ける。好きなところをたどって。
食べ物もこうやって手に入る。
もちろん海や風の危険とは隣合わせには違いないけど、
その緊張感が逆に
自分の皮膚が作りものでない“世界”に今、直に触れていることの
証ともいえる。
そうそう、世界に触れるのに、本来そんなに大したプロセスや
誰かの許可は必要ないはずなのだ。
ちょっとした約束事を忘れずにいさえすればいいんだな。
子供の時は誰でもそうだった。
おかげで、
海の上で僕の頭も不思議に冴えた。
新しい作品のアイデアもちょっと浮かんできたので、
家に帰ったら忘れないうちに形にしよう。
毎度のことだけど、
マッキーいろいろとありがとう。
すごく楽しかったですよ。
送ってもらった新鮮な獲物は早速美味しく頂きました。
イイダコもさることながら、アオリイカの刺身ってものすごく美味いね。
いままで食べたイカで一番甘くておいしかった。驚いた!
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