もう1か所の現地採集人の家に御厄介になる。
ママンさんの家はまだ村の中にあったが、
こちらの家は、車を止めてから1時間半の山道を登り、やっと1軒、ポツンとある。
そこで珈琲豆の栽培を細々とやって生計を立てているそうだ。
町にはめったに降りることはない。
むろん家に電気もない、トイレはちょっと離れた、細い沢の岩にまたがって用をたす。
家の中はこんなふう。ここで寝かせてもらった。
今は珈琲豆の収穫のため、親せきの子供たちが沢山寝泊まりしており、家族関係がさっぱりわからない。
夜は、僕らの発動機で久しぶりに電気がともされて、子供たちは騒いでた。珍しいんだろうなあ。僕らのことなんだと思っているのかしらねえ。
まあ、あんまり気にすまい。おっちゃんを隅っこで寝かせてね。
あ、おじいさん。と思って、歳を訊ねたら、
父和昭よりも10ばかりも年下だった。ごめんナサイ。
道はそれでも比較的なだらかで、バイクなら登ることができる。
高いところをひらひら舞う極彩色の蝶をみあげながら登る。
山の蝶はなかなか手ごわい。運動不足の極みの僕らをあざ笑うかのようだ。ああ、僕も本気で“俊敏なデブ”目指そうかな(笑)
で、早朝クワガタを採りに行こう、ということになって、
夜明けとともにジャングル行。
あの、このあしあと何ですか?猫より大きいよねえ、、。
「ピシャール」
は?何?
「あ、ジャワヒョウですね。昨夜ここを通りましたね。黒豹だったら獰猛で危険だそうです。」と吉川さん。
「ええ!?豹!?いるの?こんな家の近くに?」
「いるそうです。怖いのでここの人も夜は出かけないそうです。」
だって昨夜僕ら歩いたじゃん!ライトトラップのところまで。
ひえー。
「でも、雄のイノシシのほうが危険みたいですよ。沢山いるようです」
どっちでも怖いよ!いや危ないよここ!
ダイオウヒラタクワガタ。
クワガタ採りなんて子供の時以来だ。
ドキドキする。これでも昔仲間内ではなかなかの早い眼の持ち主だったんだから。
がんばるよ。
ひょい!するするする〜と登る。
はあ、猿だ。
と思った通り言ったら、少年曰く
「朝早く来ると猿がクワガタを採って食べているところに出くわすから、サルより早く来て、サルより速く登らないと。」
君が競り勝たなきゃならないライバルがテングザルなのかい!?
クワガタ採り、ハイレベルすぎない?
ベリコサツヤクワガタのメスだそうです。
で、そのあと、その時の数匹の採集個体とは別に、お世話になったお礼に、採集人が採ってきて飼っているクワガタを購入する。そうだよねえ、サルと競って採ってきたんだからねえ。買わせていただきますよ。
どの子を連れて行こうかねえ。女衒の目つきでです。
日本に帰ってきて、成田空港から夜、車で帰途につく途中立ち寄ったセブンイレブン。
その明りにノコギリクワガタが飛来してた。
一体、数日前のあの決死の山登りはなんだったんだろう?
と、おかしくなってしまった。
ここでなら、サルと競わなくても良かろうに。
コンビニにクワガタがやって来る国に僕ら普段住んでるんだなあ。
いやいや、単純に比べてもしょうがないけどね。
山の家のみなさん。一晩でしたがありがとうございました。
意外とぐっすり眠れました。
朝の沢トイレはちょっと僕は遠慮しました。
だって用足し中に誰か来たら
何をノックすればいいか、を聞きそびれたんだもの。
入ってまーす!って、スンダ語でなんて言うの?いつ言うの?
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