2010年06月29日

今日も雨ジャワ その2

そんで、昼間は何をやっているのかというと、
移動、雨待ち休憩、採集などなど。
特に、現地採集案内人、ママンさん(裸の大将)の家ではたびたび持てなしていただいて、いろいろとお世話になった。
大将はこのあたりの青年団の団長の様なこともしているらしく、
人望もあるようだ。
手伝いの若い衆が2,3人いつもいる。
奥さんと3人の子供たち。そして、虫好き。
大将とか言ってるけど、むろん歳は僕よりずっと若い。

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いろいろとごちそうにもなったな。山に持っていく食材もすべて彼の奥さんが用意してくれる。奥さんの味付けもなかなか美味しい。


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これこれ、コノハムシ。

これも彼の家の敷地のはじっこの畑の隅にある、木にいる。
つれてってもらったけれど僕にはどうしても見つけることができなかった。
それほど。完璧な擬態なのだ。
葉っぱの裏につかまってじっと動かないでいるから、
みあげる僕らの目には、逆光で見える沢山の葉っぱしか見えない。
首が痛くなって、結局そばにいる、アッセに

「答え教えて!」
と泣きつく。

完璧な擬態も彼らの特殊な眼にはかなわないらしく、
ニヤニヤ笑って、彼は指さして答えを教えてくれる。

指をさされてもなお、
う〜ん、ビタ一文わからん。

さらにピンポイントで教えてもらう。

で、ようやく、「あ!あれか?」

うう、これは手ごわい。
結局僕らには一つも見つけることはできず、3頭とも彼らが発見。
ママンさんは、庭のグアバの木を巨大なネットで覆い、コノハムシをたくさん飼育している。
コノハムシは歩く姿がなんともかわいらしいのだ。

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スコーピオンを掘りに行こう。と、彼の畑に連れられて歩く。あ、出てきた出てきた。
うわあ、すげえ、グロテスクだ。これ危ないの?死ぬ?
いやいや、おとなしいし、刺されたら痛いけど。
あ、そうなの?刺されたことあるんだ?

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吉川さんが捕まえてくれた、トカゲ。
魚のカサゴに似ているからカサゴトカゲと命名。
CGじゃなくて、リアルでジュラシックパークだなあ。

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鳥をさばくのも久々に見たよ。
その日のお昼ご飯。か、かたい。ぎょっこぎゅっこゴムっぽいけど、
とにかく味はいい。
コンソメーって感じだ。(どんな感じだ)
僕らのために、ナムアミダブツ、、、。ごちそうさま。

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面白い刃物。鳥をさばくのにママンさんの大伯父が使ってた。。
すごく良く研げていた。

ので、お願いして、研ぎ方を見せてもらう。

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はあ、まあ日本の鎌や包丁と同じか。要するに研ぎの腕がいいんだな。

他の刃物も見せて。

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ジャワの男たち?なのかどうか知らないけど、みんな腰に下げていて、
枝や草を払ったり、動物をばらしたりなんにでも使う山刀、ゴロ。
かっこいいなあ。

アッセのも見せて。

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こう構えて、

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サムラーイみたいでしょ?いや、彼はむしろ忍者っぽい。
む、何奴!?
ジャワ者にござる。

かれも研ぐのが上手だった。7歳のころから使っているらしい。
うんうん。男は刃物が使いこなせてこそ一人前だ。そうだとも。


 自然に触れることと、暮らしをのぞいて見ることはとりあえず僕の旅の基本だ。
いろんなことが見えてくる。今回は僕は彼らの操る刃物にすごくひかれた。
刃物は道具の基本だと思っている。
僕自身、自分の小刀を10歳くらいの時に、父にはじめて買ってもらった。それでなんでも削った。手も切った。いたずらもした。
切ると痛くて血が出るもんだ、と身をもって知った。
道具は、手になじんでくると、まるで体の一部分のようになる。
彼らの“ゴロ”もまた延長された右手だ。
戦時中日本軍が、ここに侵攻してきたことは代々語られていて、
彼らが腰に下げた軍刀は昔羨望の的だった。
日本のカタナは伝説として彼らの中に語り継がれている。
マンゴーの木に打ちつけた太い釘が軽くとん、と刃先を落としただけで切り落とされた。
とか、
バナナの葉っぱをそれで切ると、見る見るうちに茶色く枯れてしまったとか。

ところが、僕ら日本人の暮らしの中で、日本刀は初めから別格として、
刃物そのものが縁遠いものになっている。
かろうじて台所限定で、刃物はお母さんが使うものだ。
子供達に至っては、カッターナイフですら学校で使うことはない。
いろいろな事情は仕方無いし、生活スタイルがまるで違う。
日本の今の生活のどこにそんなもの必要?
それはまあそうだ。
僕だってたまたま田舎で育ったから、いろいろとその道具で遊ぶ対象は豊富にあっただけのことだ。

刃物は、人を傷つける。人はこんな小さな道具で死ぬ。
その重大な事実を、自分の身が傷いてみて初めて知る。
大事なことだと思うのだ。

さまざまな種類の刃物が大活躍する彼らの暮らしぶりが改めて新鮮だったな。
7歳からそれをたたきこまれるのか。
なるほど。

町に降りたときに、僕もゴロがほしいとお願いして、
金物屋に寄ってもらった。
焼き入れの甘さとか、刃先のゆがみなど、
アッセに見立てて選んでもらい、
数本を購入した。
茨城のうちの周りには、これで切り倒すバナナの木も、鶏もいないけど、
とりあえず、背高く伸びた萱や材料の木の皮くらいこれで削いでみようかのう。
きちんと丁寧に研いでからね。


















posted by 前川秀樹 at 21:29| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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