2015年08月18日

2015北海道 その5

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化石。
カブトムシと並んで天然少年の心をくすぐるお宝アイテムである。

山の中で見つける大昔の海の底の生き物。
それだけで、その石ころに刻まれた印影は、
子供にとって計り知れない価値を持つ。
いや、大人になってもやっぱりそうだ。
だから僕は今回、虫はほどほどにして、少ない時間を沢歩きに充てた。

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コツを教授してくれたのは、とある博物館の若い研究者のOさん。
博物館の展示の解説と、翌日フィールドにも連れて行ってくださった。

指示された灰色の石を探して、ひたすら割る。
必ずなにか出てくるとは限らない。
でも何かが出てくるかもしれない。
全く宝探しだ。

長靴で歩けるところまで。
どんどんと沢をさかのぼる。

翌日は一人でまた別の沢に降りてみた。
車を止めた途端、アブとブユの大群がわっと車にたかる。
これには参った。
虫よけスプレーなどものともせず、じっと留まると、たかって来る。
とにかく飢えているのか、凶暴なのだ。

お蔭でむき出しの両手両腕がグローブみたいに腫れあがってしまった。
おのれ、アブども!


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大きなかつらの切り株。
こんな角度で見たことがない。
水の流れる側から見えてくる景色は新鮮だったなあ。
夜の間にはいろんな動物もまた、水辺にやってくるようで、
残された種類の違う足跡や、ふんでそれがわかる。


沢。
これまで林道わきに流れているのを上から眺めることはあった、
流れを横切る時にはそのひやりとした空気や滑る岩を飛び越えることもあった。

しかし、そこまで降りて、流れに沿って遡る、という体験は新鮮だ。
両脇の抉られた山肌。腐食した植物や淀んだ泥の匂い。鮮やかな苔の緑。
頭上を急に横切るカワガラス。
岸の草むらから驚いて飛び出した雄鹿に僕の方が腰を抜かしそうになる。
熊じゃなくてよかった。

人の道とはまた違う、水の道。
小さな体の自分が皮膚の浅いところを流れる血管に
間違えて紛れ込んでしまった異物のようにに思えてくる。

最も視界のほとんどは足もとの石ころばかりだけど。

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これは、アンモナイトの殻の縫合線。
博物館で見た。ああ、やっぱりちゃんと落ちてるんだ。アンモナイト。
初めて見た。
でも、想像していたあの丸く巻いた形じゃないなあ。欠片か・・。
それにちょっと大きすぎる。全体を想像しても相当でかい。
うーん。残念。


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こっちは?
なんだろう?
なにか、ではあるんだろうな。
割ってみるか、いやいや、このままでも綺麗じゃない?


結局、今回は下見的な結果となってしまった。
発見できたのは、ようやくそれとわかる欠片ばかりだった。

ただ、本当にそこにある事は分かった。
8000万年前のここが、海の底だったという動かぬ証拠は確認はできた。
次は、次こそはもうちょっと綺麗な欠片を拾えるように、下調べをしていこう。


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余談、道路の真ん中に黒い固まりが。
あれは、間違いなく・・・


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ヒグマの落としものでした。泊まった宿から朝の散歩中にあったもの。
昨夜の雨で流れちゃってるけど、一昨日あたりのものには違いない。

興味があったので、近くの落ち枝でほぐしてみる

山ブドウの蔓、以外は何の植物かわからない。いろんな繊維や葉の痕跡。
昆虫等の痕跡なし。動物系タンパク質は取らないんだなあ。
狐や狸のフンとはまるで中身が違う、テンやイタチとも。
北海道のヒグマは世界のその仲間に比べて、
極端に草食性へと進化した珍しい例であると
聞いたことがある。
ただ、草食性だからって、危険であることには変わりない。
だって、大きいもの。
意外とこんなに近くに普通に居るものなんだなあ。

ちなみに今回、
林道を含め路の上でみた熊のふんは 合計7つ。
迂闊に沢なんて歩いてたら、いつかばったり、
なんてことがあるかもしれない。
鈴以外にも、笛とか、スプレーは必要かな。
荷物が増えてゆくのは嫌だけれど。


 毎回、僕には何かしらの発見をもたらしてくれる北海道。
でも、多分知っているのは未だ10分の一くらい。
とにかく広い。
茨城空港から新千歳空港への定期便の存続が危ぶまれたスカイマークだが、
いまのところ、減便は無いようだ。
僕の発見フィールドへの直行便、どうにか現状で存続してほしいものだ。

次はいつになるだろう。
機会を黙して待とう。




posted by 前川秀樹 at 18:37| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015北海道 その4

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北海道後半戦は三浦親子と野遊び。

やあ、一久。げんきにしてたー?
大きくなったねー。
さて、今年は何処に行こうかね。

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ライトトラップ点灯待ち。の前に腹ごしらえをしよう。
今日はカレー。
早く暗くならないかな。


なんで?どうして?だれが? なぜなに期 真っただ中の一久。


一  「あーテントウムシ来た。飛んできた。電気ないのに何で!? ねえ?」

ま  「あー、ねー。なんでかねー」


ライトトラップの準備中でついつい生返事を返す僕。
すると一久。しばらく静かにしてるなーと思ってたら
僕がお湯を沸かし始めたころ合いに。ぽつりと。


一 「前川さん?」

ま 「はい?」

一 「今忙しいですか?」

ま 「?いや、なんで?今いそがしくないよ」

一 「テントウムシの話していい?」


ああ、え?なんか気を使って黙ってたの!?
三浦さんも僕も、キュンとするやらおかしいやら。
それで改めて。

ま 「じゃ、はいどうぞ(笑)」

一 「テントウムシが来た!」


え、それだけ?話って。
まあでも5歳児?6歳かな、ってそんなもんなのか。

ホントだ、飛んで来たねえ。
とやっと彼の手元を見て受け答え。
字面にすると先ほどのそれとほとんど違いがあるとは思えないけど、
子供にとってはやっぱり違うんだな、それとこれとは。
面白いなあ。


結局この日のライトトラップは不発。
気温が低かったこと、満月だったこと。風が少しあったこと。
等が原因と思われる。



気を取り直して翌日。



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や?昨日夕方に しかけた馬糞、翌朝行ってみると変化が!?


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牧場ではダイコクコガネの姿はまるで見つけられず、
それならせめてオオセンチコガネを寄せてみるか、と仕掛けたもの。
糞をどけると大きな穴が

やけに大きいな。オオセンチも相当大きな穴を掘るけど、
僕の指が入るほどじゃない。
けどこれは、大人指サイズ。

静かに静かにスコップで掘り下げてみると、
出てきました。ダイコクコガネ♀。

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教科書通りだと、牧場の草の間でも掘り進むそうだし、
馬糞なんとそちらにはいくらでも落ちてる。
なのに、いなかった。

それなのに、林道に仕掛けた糞から、3か所で合計9頭 。
ただ、全部♀。
これはたまたま?
さて、また分からんことが出て来たよ。
雄は何処で何やっているなんだ?

ちなみに昨年の雄の写真は⇒

てっきり一緒に巣穴に居るもんだとばかり。
でも、一匹も姿を見ない。

いつ交尾をした?これから?
糞を引き入れた時点で、
もう産卵は済ませているということ?
それとも産卵のための穴は、メスだけがせっせと掘るの?
で、交尾だけしてとっととおさらば的な?

おっと、またなんだか雄の立場が危うくなって来たよ。

だから、オスはだめだ。男はこれだから・・・・

いやいや、そんなことないって。
なんか役割があって、たまたまいないだけだって。

でも真相は謎のまま。
もっと知りたいなあ。ダイコクコガネの生態。
張り込まないと駄目かなあ。
知れば知るほど、なおさら、ダメ雄だったりして(笑)

まあこれは宿題。
一つ分かればまた一つ分からなくなる。
自然の面白いところ。



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数は少なかったけど、オオセンチも見られた。
糞をちぎって運ぶ。糞の真下に穴を掘ればいいのに。
あ、そうか糞の下には大黒様が。



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自然の中で遊ぶ、って、教科書があるわけじゃないけど、
いくらかの知識は必要。
何が楽しくて、何を見つけることが、スゴイ!ことなのか。
河原の大きな岩に登る。
たったそれだけでも、僕はいくらでも冒険ができると思う。

何事も創意工夫と想像力。

とはいえ、それで一緒に遊べるのは、
子供が、せいぜい10歳くらいまでなんじゃないかなあ、とふと思う。
好みや人格が形成されてくれば、行為に価値や意味を求め始めるから。
子供のもつ社会も広がってゆく。
あれが好きこれは嫌い、めんどくさい、楽そう。
そうなればもう小さな大人だ。
付き合い方が難しい。

子供と接する時には
僕は親じゃないから美味しいとこ取りしてしまうばかりだけど、

さてさて一久はいつまで虫のおじさんと楽しんで遊んでくれるものかね。

















posted by 前川秀樹 at 17:36| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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