2014年01月31日

2月ルビジノ

千恵 イタリア (13).JPG
2012 Italiana

三寒四温、と言い切るにはあと一歩。
とはいえ、「節分」とはよく言ったもので、
厳しい冷え込みの隙間に
迂闊にもわずかな緩みを見つけてしまい、
ついつい期待めいたものを
抱いてしまう。
それが2月。
それでも、今、この時間にも梅の蕾も膨らみ続けているんですよ。

さて、2月ルビジノ

  2月 1日(土) 2日(日) 3日(月) 4日(火)
がオープンです。
お待ちしています。

* なお、3月は千恵個展のため、ルビジノはお休みをいただきます。
ご了承ください。

posted by 前川秀樹 at 08:32| ルビジノ情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月25日

プロの仕立て。

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 眼鏡を初めて掛けるようになってから3年になる。
とはいえ仕事中は今も掛けない。
近くは比較的まだ見えるので、
手元を見るのは出来るだけ裸眼のままでいたいからだ。
しかし、目は脳の一部だという話も聞く。
ということは眼鏡は脳を助ける道具ということになる。
現状、自分には裸眼が一番、というのももしかしたら、
頑固な思い込みかもしれない。
今の自分の脳にとって本当に良い道具を知らないだけかもしれない。
というわけで今日は朝から
“良い眼鏡”
を求めて、千葉まで出かけてきた。

その、大きくはない眼鏡屋さんの評判は、年末に一緒に山登りをしたサンペイ君
から聞かされた。
彼はいくつもの眼鏡を、脳の求めに応じて付け替える、
いわば眼鏡という道具の達人なのだ、と
今日、その眼鏡屋のご主人から改めて聞いた。

眼鏡屋のご店主は認定眼鏡士の資格を有している。
ちょっと学者然とした雰囲気のこのご店主の言葉づかいは丁寧だ。
マンツーマンの事細かい問診。独自の眼鏡論から
目前の脳の求めるところを探る、独特の質問。
診断が進むうち、
だんだんと、自分の殻が外されてゆくのがわかる。
と同時に自分にだけカスタマイズされた、
道具の青写真が組み上がってゆく。
そして不思議なことにそれが今、自分にとても必要な
大切な道具なのだと、感じられるようになってくる。

いつの間にか、最初に考えていた、
ぼやけた視界がくっきり見えればいい。
そんな程度の意識はなんだか気恥ずかしく思えてきた。
そうか、その程度では、道具を使えている、とさえいわないのか。

そうだ、自分に合った大事な道具というものは、本来、
こうやってその道のプロフェッショナルが
丁寧に仕立て、指南してくれるものなのだ。
医者でも最近ではこうはいかない。

結局じっくり2時間。ここから出来上がりまでさらに10日。
店を出るとき、自分の日常の輪郭がくっきりと洗い出されたみたいで
不思議な気持ちになった。

ところで、認定眼鏡士という資格は
公益社団法人 日本眼鏡技術者協会の定めるマイスターの資格であって、
国家資格ではないらしい。

日本は脳と目の関係の研究において非常に先駆的であるらしい、
にもかかわらず、
世界中でそれが国家資格でないのは、日本と北朝鮮など、ごくわずかしか無いのだそうだ。
驚きだ。大切な職人がわが国では冷遇されている。
現在、国家資格化に向けての活動が盛んなのだそうだ。
身につける道具を作る、という技術は、医術の延長、身外の医術といってもいいように思う。
道具を身につける側からすると、
信頼をどこに求めるかの基準はあってほしい。

確か、僕らが子供のころ、同級生が眼科医の診断書をもって
親と眼鏡屋に行っていた。
それが、いつの間にか、コンタクトも眼鏡も安価になりネットでも
誰でもが気軽に購入できる手軽な商品アイテムとしての顔を持ち始めた。
なるほど、
国家資格という名実ともにプロフェッショナルとして
墨付き看板成立への壁とはつまり
そういった業界の大人の事情のことなのだろう。
確かに、2千円の眼鏡も10万円の眼鏡も、眼鏡は眼鏡だ。
消費者に選択の幅があることはいいことなのかもしれない。

けれど、その幅の中から最適を選びとる。
そのこと自体が今、至難の業と言わざるを得ない。
それとこれとの違いが分からず、
ともすれば選択肢の海で溺れそうになる中
危険や適性を正しく選りわけてくれる専門家の存在は大変ありがたい。
自分と相性の合う良い専門家との出会いはさらに縁としか言いようがない。
今日のようないい出会い方は非常に稀で、
それは幸せなことだ。

僕も達人にはなれなくても、せめてちゃんと道具を“使える”ようにはなりたい。
届くのが楽しみだ。






 
posted by 前川秀樹 at 18:51| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月17日

震災から翔ぶ少女へ。

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 19年前の早朝 僕は住んでいた埼玉の家にいて、
当時、愛知にいた従兄からの電話でたたき起こされた。
「兄ちゃん、すぐテレビ付けて!」

まだ映像は不十分だったが、自分の生まれ故郷で
とんでもない事が起こっていることだけはわかった。

すぐに実家に電話。
つながった。
幸い、親類縁者の無事はそのたった一本の電話で確認できた。
しかし結局つながったのはその一本だけで、
あとは、間もなく長い不通となった。

徐々にテレビの映像が増えるにつれ
上空から見る見知った町、というか集落の無残に崩れ落ちた屋根や
がれきの様子がわかってきた。
家や道の境界線ががれきで埋め尽くされ、
全体に不思議に輪郭のぼやけた地面の上を
所在なく歩き立ち尽くす、ゴマ粒のような住民の姿があった。
あのぼやけた住処の中に、その映像を見ている瞬間にも
逃げ遅れ、生死をさまよう人がいたのかもしれない。

神戸の火の海、そして息絶えた大蛇のように
ぐにゃりと横たわる阪神高速道路の映像のインパクトはすさまじく
まるで近未来SF映画のように見えた。
遠くで画面からそれを見る僕は
どうにかそれをリアルに実感しようと
心を向こうに寄せてみたが
揺れを体験していない自分は
なかなかその実感というものがわかず
これは今、本当に起こっていること、と何度も言葉で確認した。
それでも、気を抜くと、どこか遠くの話のように思えてきて、
ほの暗い罪悪感と奇妙に激しい焦燥感に駆られたことを今も思い出す。

昨今、震災といえば東北のことだが、
関西ではそれをすっかり上書きするほどのリアリティは薄く、
震災といえば未だに19年前のそれをさす。

その時の神戸を舞台にした新刊小説本が、ポプラ社から出版され
本日、本屋の店先に並んだ。

  原田マハさんの小説「翔ぶ少女」だ。

原田さんは幸いその瞬間を免れたが以前住んでいた家は燃えた。

その御縁というわけではなかったが
像の姿と小説のイメージとが良く合うと気に入っていただいたのがきっかけで
今回、僕のちょっと前の像刻作品「ケルビム」が表紙に起用された。

手元にある本、ちょっと息を整えて読みたいと思いつつ未だ未読だ。
原田さんのことなので、きっと、そこからとにかく前を向き
力強く飛び立つ少女の生きざまがファンタジーを交えてつづられていて、
カタルシス後の復活の爽快感を味わわせてくれるに違いない。
元気になれるだろう。

いずれにしろ、僕にとっては、あの時に思いをはせる道しるべの一つになるかもしれない。
そうだ、今日から読もう。



posted by 前川秀樹 at 13:38| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月12日

2014年 活動予定。

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遅ればせながら、
新年明けましておめでとうございます。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2014年。ますますの精進の年になりますように。

さて、まずは今年の作品発表予定等をざっくりと。


3月6日(木)〜12日(水)
 前川千恵カバン展::::::::ギャラリー咲景花(山口県) 久しぶりのカバン新作展です。

3月21日(金)
 mama!milk ライブ:::::::DEE'S HALL(青山) 一昨年末像刻展「漂泊の森」展示会場にて行われたコラボライブ、その第2段です。5月の個展より前倒しでの開催となりますが、どういう形でのコラボレーションとなるのかは乞うご期待!                            

4月26日(土)・27日(日)
 ワークショップ 木偶の棒::::DEE'S HALL(青山) 恒例春木偶!参加募集は3月末頃です。

5月20日(火)〜27日(火)
 前川秀樹像刻展「witchi'S portrait」:DEE'S HALL 新作約50点。像刻展初、全作品女性の肖像 です。さらに今回は展覧会図録の出版予定。作品と図録、現在並行して制作進行中。

秋頃(詳細未定
 美術・工芸特別講義:::::長岡造形大学(新潟)    詳細未定 でも、実技じゃありません。   90分ふたコマ 一般の方も聴講できるようです。

秋頃(日程未定)
 ワークショップ 木偶の棒:::::::DEE'S HALL

10月20日(月)〜25日(土)
 前川千恵カバン展:::::::::::ギャルリーワッツ(青山)  東京でもずいぶん久しぶりです。ペインレザートートバッグ新作が並びます。

12月(日程未定)
 前川秀樹像刻展::::::::::::ギャラリーたむら(広島)  本年締めくくりが広島です。



こうして書き出してみると、けっこう色々ありますね。
間にまた予定が入ったり、もろもろの詳細についてはおいおい当ブログにてお知らせをいたします。
とりあえず今は早くこの寒波が去ってくれることを祈りつつ、毎日アトリエで彫っています。

まずは先のことより明日のことを。
本年も出来る範囲でがんばります。
よろしくお願いいたします。

posted by 前川秀樹 at 17:17| 作品発表、展覧会情報、等。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

住む 出てます。

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住む no,84 冬号  出てます。

今回のお話は、誰も知らない山奥の沼のほとりの雪景色。盲目の白鷺の話です。
切ない成分多めです。

御一読ください。


posted by 前川秀樹 at 16:06| 作品集出版 雑誌掲載情報。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月02日

2014年 新年ルビジノ。

0927 (316).JPG

あけましておめでとうございます。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

ここのところ、太平洋側は天気が安定していて、
霞ヶ浦の湖畔からも富士山がよく見えます。
ちょうどこの時期、太陽が富士山の真上に沈んでゆくからか
日没ころ、湖岸沿いの道でカメラを構える人がちらほら。
ちなみに去年はこんな感じで見えました。⇒ 

1月ルビジノ、寒いですが、
冬の恒例のおでんが湯気を上げているそうですよ。

1月 4日(土) 5日(日) 6日(月) 7日(火)

がオープンです。
お待ちしています。

posted by 前川秀樹 at 09:37| ルビジノ情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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