2012年09月27日

秋木偶講座 募集開始のお知らせ。

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長かった夏が終わったようで、
急激に空気が秋のさわやかさを帯びてきました。
やっと、という言葉が今年はぴったりはまります。

さて、こんないい季節にまたやってきました。
恒例、DEE’S HALL 木偶講座 秋編。
今回で 第11回を迎えます。

日程は 10月20日(土)21日(日)です。
場所はおなじみ東京 青山 DEE'S HALL
ワークショップ詳細についてはこちらまで。

お申込みフォームもDEE’S HPからたどることができます。

さて、ここでちょっと大事なお知らせです。
昨日からそのHPが、ドメイン更新手続き中につき、見れなくなっております。
メールも送ることができません。
よって、お申し込みはそれが済み次第という状況になっております。
週明け、
30日もしくは10月1日あたりからとなるようです。
申し訳ありませんが、その日にちあたりでHPのチェックをお願いいたします。
スタートがあいまいで申し訳ないですが、宜しくお願いいたします。



刃物を持つのがほぼ初めて、という方でも大丈夫!
基本的にそういう方に向けた内容です。
多少、歯ごたえがありますがそこはなんとかなってしまうのも
この講座ですので、ご安心ください。
ご興味のある方はこの機会にぜひお申し込みください。
なお、定員に達し次第、2日間ともお申し込みは締め切りとなります。

10月3日の時点で定員に達しましたので、募集は締め切らせていただきました。
お申込みありがとうございました。

posted by 前川秀樹 at 11:11| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

住む 秋号 出てます

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雑誌「住む」No.43 秋号 発売中です。
短い物語、
今回は、「飛び礫」というタイトルで
ちょっと山中異界めいたお話です。
宜しくお願いします。

posted by 前川秀樹 at 10:46| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月25日

collier 終了

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長かった展示が終わりました。
家からは片道3時間。
半年の間の往復は残念ながらほんの数回でした。

昨日搬入を終え、来場者芳名帳を散見していましたら、
ずいぶん遠くから来てくださった方々もちらほら。
作品展ならばともかく、
ああいった全く個人のコレクションといった
ちょっと特殊な展示に
わざわざ足を運んでくださった方々の顔を思い浮かべ、
改めてありがたいなあ、と思い返しています。
決して交通の便の良いとはいえない場所ですし、
ほぼ真夏の展示にもかかわらず、です。
観覧者の方々を始め、
改めて関わってくださった方々に深く感謝です。

会場に立っている間、多かった質問に、
「ご自宅にこれだけモノが収蔵されているんですか?」
あるいは、
「ご自宅や仕事場はas it isの2階の部屋のような展示場風なのですか?」
というのがありました。

一つ目の質問には正直に
「その通りです。これでも選別して持ってきてますよ」
と返答。
二つ目の質問には、
「展示部屋なんてありません。外に出ているのはほんの一部で
たいてい箱におさまっていて、何が入っているのか忘れているものも多いです」
とお答えしました。

僕は自分のことはコレクターというのとはちょっと違うと思っています。
今回箱から出して展示してみると、
改めて、何かのコレクターというにはあまりにも節操がなさすぎる。
と思いました。
コレクターというのはもっときちんと、これを集めよう、
これをそろえよう、という自分で定めた決まりごとにそって収集してゆく、
ある生真面目さと根気、それに、達成への情熱を持ち合わせています。

僕の場合、その決まりの中でとことん内容を深めてゆく探究心や根気
が欠けています。
その時その時、あ、きれい、これ面白そう。何かになりそう。
といったきわめて感覚的な取捨選択の基準があるだけなのです。
基準はまた揺らぐし変化もします。
だから一つ間違えば、
モノの収集が目的へとすり替わってしまい、
物量だけが際限なく暮らしの場を圧迫してゆく、という危うさをはらんでいます。
けれど、案外そうはならない。
それは捨てるからです。
自分にとってその時の感覚に引っかかったものは、手に取りますが、
それが今一つ“感覚に正直でない”ことに気がついたり、
あるいは“過ぎて”しまったものに対して、
それほどの執着心が持てないからです。
またそうなってしまったものを身の周りに置いておくのは重たいのです。
だから、自分の古い作品すら、燃やしてしまったりするような
ひどいこともしてしまいます。

たぶん自分の足跡とか、すべてにまつわる思い出とかに
執着する強いエネルギーが無いのでしょう。

だから、あれほど情熱をかけて集めた古い鉄クズの類を
ごっそり鉄くずやさんに持って行ってもらいました。
今年の4月のことでした。

自分の住まいキャパシティの6分目くらいが程よいかな
と思っています。

持ちすぎると、次の出会いの瞬間の感覚が、鈍るからだと思います。
出会いは化学反応のようなものですから、
その瞬間に変化が起こります。
変化をもたらすほどの何かならば時間がたてば、
互いの関係が、またさらに面白く変化してゆく可能性があります。
自分自身が時間とともに成長というか変化しているはずですから。

モノは、役に立つ、立たないにかかわらず。
それ自体で、人の心に何かをもたらしてくれるはずなのです。
少なくとも僕の場合は、生活必需品だけをパートナーに、
自分らしく生きてゆくことなどできません。

こころ、には形がなく、おまけに不可視です。
けれど、モノと自分の関係に気がついたとき、
こころの輪郭がふと見えてくることがあります。
モノを介在させることで
自身のこころの衰弱や枯渇、満足や豊潤にも触れることがあります。
身近なモノはそういう装置として常に機能するはずなのです。

今回の展示の機会は、そんなさまざまなことを確認するまたとない機会で
自分にとっては一里塚のようなものだったと思います。
これを機会に、すでにたがいに必要としなくなっているものにも気が付きました。
だからまたそのうちごっそり手放すのでしょう。
手にしたときと同じように瞬間に、ぽいっとあっけなく。

普遍の価値など存在しないのですから、
それが自然なのだと思います。
別れを名残惜しんではいけない。

さて、それよりも次の出会いにわくわくします。
どんな世界の断片に自分が、はっと気がつくのか。
何を発見するのか。発見し得た自分に驚きたい。
それはいつで、どこで。
と考えると、楽しいです。

世界に闇と果てが失われて久しい。とパンフレットに僕は書きました。
けれど、一人の人間が一生に出会えるモノ、バーチャルではないほんとうの出会いなど、
広大な世界に比べれば、一つまみの砂粒にも等しいです。
だから、世界に果てや闇は無いかもしれないけれど、
実はとらえ方次第で、世界はまだまだそこそこ広い。
自分の感覚と6分目だけをルールに旅できる未知は
いまだ膨大であると信じています。

展示を見てくださった方で、
そんなことをほんの少しでも、
ああ、家の中にあるモノってそういうものなのか、
役立たず、イコール生活の(大げさにいえば文明の)無駄とか贅肉じゃあないのだな。
と分かち合ってくださったなら、
僕はとてもうれしく思います。
半年間の展示が、見知らぬ誰かにとっての“出会い”となってくれていたなら、
さらに嬉しい。

改めてこの場にて感謝の意をお伝えしたいと思います。
ありがとうございました。










posted by 前川秀樹 at 20:46| 作品発表、展覧会情報、等。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月20日

耽溺

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耽溺 【たんでき】 名 スル

昔々
博物学者になりたかった。

as it is の展示 collier
残すところいよいよ後3日となってしまいました。

明日はカメラマンの方の撮影が入る予定でおりますが、
御観覧には差し支えありません。

前川の在廊日は最終日 23日(日)となります。
皆さまどうぞよろしくお願いいたします。
posted by 前川秀樹 at 17:36| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月17日

北国行 オマケ

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ヒグマ対策。予習だけはした。けど、、、。
怖いものは怖い。

誰知るや 腰振る影に 雨煙る。

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親切な牧場のおやじさん。
明らかな不審者ですが、通報しないでね。
おかげさまで、楽しめました(笑)

匂いフェチ 僕じゃないです 知人がね。

posted by 前川秀樹 at 23:13| 粗忽の庭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北国行 その5

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最終日、空港に向かう前に立ち寄りたい場所があった。

沙流川の下流、二風谷(にぶたに) というところ。
出発前知人から、すごくいいところですよ。気持ちがいい谷です。
と教えられた。
例えて言うなら、ナバホインディアンの聖地のような場所です。とも。

そこに、二風谷アイヌ文化博物館というのがあるらしい。

雨も上がった。
なるほど、これはすごい。ひろいひろい緑の中州が広がるまさに聖地。
気持ちが平らな谷筋に吸い込まれそうになる。

でも僕は何も知らずに行った。
この雨季のサバンナのような中州はダムによって形成されたものらしい。
なるほど、下流側が無粋なコンクリートの建造物でせき止められている。

そうか、うかつだった。ここは水没させられた聖地か。

ここにもアイヌと和人の耳を覆いたくなるような争いの歴史がある。
博物館で資料を斜め読みすると、まあ、なんてひどいことを。
アイヌ文化に触れるとき、どうしてもそうした、
和人による略奪、弾圧、搾取の歴史とぶつかってしまう。
避けて通ろうとしても、どうしても。
ああ、いい場所だ。素晴らしい文化だ、とだけ言いたいのに、
その言葉にはつねにある種の闇と後ろめたさが付きまとう。
そのことが残念でならない。
見ないふりを許してはくれない。

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薪の燃えるいい香りにひかれて、敷地内に復元された大きなチセ(家)に入ると、
座敷にはガマの穂で編んだ御座が敷き詰められていた。
4m×1mで一枚単位。厚みが2センチくらいあってこれは最高の肌触りだ。
多分夏の冬も。
この最高のゴザはトマという。
ふと窓際をみるとすごい迫力のあるおばあちゃんが、木の繊維をほぐしていた。
こんにちは、お邪魔します。

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アイヌ文化の伝承者で今はアイヌ語の講師をしていらっしゃる、
木村いとさんというおばあちゃん。
オヒョウニレという木の皮をなめし繊維を取ってそれで紐を依る。
それがトマの経糸となる。

僕はほんとに何の予備知識もなく、ちょっと立ち寄っただけのつもりだったのに、
木村さんの話があまりに面白くて、囲炉裏の前でついつい長居をしてしまった。
アイヌ語で、数はどうやって数える?山はなんていう?谷は?
文字を持たなかったアイヌの言葉はアルファベットか片仮名の表記となるが、
トに小さな○がついているのは 強いて言うならトゥに近い。
帰ってからちょっと検索したらすぐ出てきた。このおばあちゃん。
伝承者としてそうとう有名な方らしい。
話も上手だもの。
というか声に重力があるみたい。
どこまでも引き込まれてしまう。

印象に残った話がある。

子供のころ祖母と、明日、客が来るので山菜を摘みに行った時のこと、
祖母は目当ての山菜を見つけては、こちらでちょっと、あちらでちょっと、
と、同じ場所からはほんの少しづつしか採らない。
おかげで籠を満たすのにずいぶん遠くまで歩いた。
なぜかと聞けば、
隣のばあちゃんも多分採りに来るから、
近いところで全部採ったら、他の人が困るからこうするのだ、
と笑って言ったという。

全部取らないのは、隣の人のためと、収穫は沢の神様からのおすそ分けだから。
という意味合いがある。

当り前のことかもしれない。
が、たったこれだけの気づかいが果たして今、
当然のこととしてなされているだろうか。

子供の常識以下の事を色々と尋ねる40過ぎのおっさん旅人に

「しっかり勉強してください。」

と木村さんはいった。

ごもっともです。僕は知らないことと忘れていることが多すぎる。
当り前のことを。
なんでもかんでも知識を深めればいいというものではない。
時間にも許容量にも限度がある。
けれど、今、自分に必要だと感じたならば、とにかく知らねばならない。
それをこの齢80才を過ぎてなお、
車を時速80キロで疾走させるという、このエネルギッシュな人が
たくさん知っている気がした。

なんで、こんなに駆け足で来てしまったかなあ。
深く後悔をする。

そのあと充実した展示に再び衝撃を受けた。
なんじゃこれは!
いままでぼんやりととらえていた、
同じ日本の中の異なる民族の造形。息遣い。それと苦悩。
暮らしと心と、両面において、なんて豊かな文化。
彼らがどう自然を解釈し、付き合ってきたか。
せめてものヒントにと、アイヌ語の本と写真集を数冊購入して、
また車に乗った。

他にもほしい本がたくさんあったけど、現金がなくて断念。
ATMなんて無いしなあ、、。
再び後悔。
なんだか旅の終わりにやっと入口に辿り着いたような思いだった。
僕に必要、というよりも、今の日本に、といっても
ある意味でいいすぎじゃないかもしれない。

でも仕方がない。
必要なクエスチョンを、ちゃんと整理してからまた来よう。
答えを性急に求めすぎると必ず間違う。
牽強付会というやつだ。
感じること、勉強すること、考えること。知ること、分かること。
きちんと順番を踏むことが大事。
はい、おっしゃる通り、勉強します。
こういう勉強なら僕の頭にもまだまだ入るです。

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津軽海峡をひとっ飛び。
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たった1時間半で茨城空港に着いたら、見事な夕焼け。
皮肉にもこっちは晴れ続き。
まだまだ気温32度越え。

それにしてもどこまで遠くまで行ってきたんだろう、
なんか、大事なことがある気がする。
そんな気がした。

必ずまた行こう。



























posted by 前川秀樹 at 18:43| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月15日

北国行 その4

連日の雨続きを恨みたくなったけど、
唯一、良かったなと思ったのは、
目に飛び込んでくる色彩の鮮やかなこと

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雨間って花がほんとにきれいにみえる。

で、うろうろしていたら、
なんだこりゃ!?

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こっちにも。

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あちこちに沢山。
きらきらしていて、万華鏡をのぞいた時みたい。
金銀砂子〜♪
って何の歌だっけ?笹の葉さ〜らさら〜♪

これも雨上がりマジックがちょっとかかってる。
よく見てみるとどうやら、これは動物の糞だ。おそらく狐の。
きらきらは、オオセンチコガネの翅のようだ。
綺麗なのか汚いのかよくわからなくなってきた。

オオセンチコガネは動物の糞しか食べない。
糞に来たコガネ虫を狐が食べて、その糞にまたオオセンチコガネが。
で、またそれを食べる狐。
食うものと食われるもの。2者で関係が成立してる。
食物連鎖というより、なんてシンプルな食物循環。
狐は自分の糞でわなを仕掛けているようなものだ。

でもこのあたりに、オオセンチコガネが生息していることがこれで分かった。

よし、僕も習って仕掛けてみるかね。
さすがに自分の、とは行かなかったので、
ふもとの農家でもらってきた牛糞を置いて見る。

うう、鹿の頭だの牛糞だの、こころからすまん。
レンタカー屋のひと。

30分もしないうちに、あのきらきらがぶ〜んと飛来。
ターゲットの1メートルほど手前に不器用に着地。

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きれいだー。
道産子オオセンチ。大きさは2センチくらいかな。
エゾ鹿の爆発的な増加に伴って、このコガネ虫も
最近では珍しいものではなくなったという話を聞いた。
緑色がこんなに鮮やかなのは、
関西の一部とここ北海道に生息するものだけだと聞く。
でも、滋賀や京都のものよりも緑に赤が微妙に反射して。
その按配が実に美しい。
御当地オオセンチの色にしばしうっとり。

このまま牛糞トラップを放置して、
周囲の林道を一回り。車でまた別の林道にも移動したりして、
午後に回収に向かった。

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見つかったー!逃げろー。わらわらと散る姿すらきらきら美しい。
どれもすれてなくてつやつやなのは、
この秋口に羽化したばかりの新成虫だから。
その後も次々と回収。
気がつくと、こんなに。

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色彩、というより光の反射の色。
まわりの雨あがりの風景をこの小さな背中に写し込む。
反射する波長の違いによって
目に見える色が変わる。
それを構造色という。
今回どうしても現地で風景とセットで見たかった色の一つ。
一番の目的のオサムシの緑色はとうとう出会えずじまいだったけど、
こちらは沢山。
飼育してみようと思って、
生かして持って帰ってきた。
うまく産卵してくれればいいのだが

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ちなみにこの日のお昼は、山から宿の近くの交差点まで一旦戻って、
ソバ屋で鴨南蛮うどん。
結構おいしかったな。

とにかく店がないので、
昼飯の確保は毎日結構重大な問題。
















posted by 前川秀樹 at 09:28| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北国行 その3

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ちょっと林道に入ると、すぐにヒグマ出没注意。の立て看板がある。
彼らのエリアに一人でのこのこ出かけるわけなので、
用心のために鈴を派手にならしながら歩く。
がさがさというモノ音には心臓が跳ね上がることしばしば。
そんな心理状況で、こんな河原の風景に出合った、、、、。

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命名、殺傷河原

林道からのぞきこんだとき、
転がっているのは白い流木に見えたけど、
よくよく見たら全部鹿の骸やされこうべ。
なぜこんなに固まって?
わけもわからず、ぞっとした。
しかし、落ち着いて水辺まで降りて、
しばらくそこに立っていると。
ただよう静かな死のにおいが不思議と絵になる。
雨も少しの間小休止の様子。日暮れまで沢山の写真を撮る。
帰り間際に頭骨を一つ拝借。
新聞紙でくるんで、持って帰ることにした。

累々たる死骸の訳は、落ち着いて考えれば、
熊の食事の跡などではなく、
猟師の狩った獲物の解体現場。
それが正解答だろう。
骨が若い個体ばかりなのもそれでうなずける。
そりゃそうだ。

程よい「謎」との出会いが収穫。










posted by 前川秀樹 at 07:23| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月14日

北国行 その2


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ああ、今日も雨。
一日止みそうにない予報。
早起きして昨日仕掛けたトラップを見て回るが、
昆虫はまったくだめ。
無理もない。

よし、今日は予定変更。
午後は石にしよう。

高速道路にのって、日高からさらに東へ1時間。
そこからさらに北上1時間弱。

このあたりは黒曜石が産出するそうなのだ。
黒曜石、オプシディアンともいう。
矢じりや手斧の原材料として有名なあの美しい漆黒のガラス質の鉱物。

それもまた僕にとっては憧れの石なのだ。
もちろん原石なんて見たことがない。
まさかあのつるりとした鋭利なままの状態で
河原に転がっているわけではないだろう。
       
途中、道の駅に立ち寄ると、おおお!なんと置いてある。
隅っこでほこりをかぶって。
ジャガイモほどの大きさの黒っぽい丸いモノが。
表面はでも削られて白っぽい。
丸いということは、やはり河原の流石には違いない。

「あの、これ十勝石(黒曜石の地元での呼び名)ですか?」
若い店員さんに聞くと。

「はい、そうですよ。」
「売り物ですか?」
「はい、ええと一つ300円です。」

安!
そうか、これを割り砕くのか。
とりあえず、いくつか購入する。
あっさり手に入った。
もうこれでいいじゃん。
いやいや。
やっぱり自分で見つけないと。
地図を見直して。さらに車を走らせる。
車はどんどん細い林道へ。

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この沢に違いないと思うんだけど、
河原なんて無いよなあ。増水してて危ないし
だいたいどうやって下に降りるの?

地図上では林道に沿って沢は伸びてる。
車を止めて歩いてみるかね。
どこかで降りられるだろ。

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林というか森。しかも雨のせいで、砂利道以外は一面の湿地になってる。
ああ、でもなんかこの感じ好きかも。
水を含んだ地面と、木々の根の間にたまる濃い褐色の水。
この色は、植物の養分がたっぷり溶けだしたものなんだなきっと。

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一面に茂るトクサの中に鹿の道がくっきり。
鹿め、やつらこんなぬかるみも平気なんだな。
長靴はいてないのに。さすが4つ足の獣。

やっと小さな河原発見。
そっと降りてみる。
たぶんここくらいしか、降りられるところなんてなさそう。
ここに決めた。
黒い石、黒い石。
まあ、あるけどねえ、、、。
どれがそう?
それっぽいのを拾ってみるけど確証が持てない。
どれも黒いよ。
先ほど道の駅で手に入れたサンプルと比較してみる。
んーん、似てるような、違うような。
正解がわかりません。

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仕方がない、割る。
次々割る。

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おお、これはちょっと、
正解。あの割れ方だ。きれい。
ああ、ほんとに黒ガラスだ。
天然石とは思えない。

よし、石の肌の感じはつかんだ。
これ以上河原の無為な破壊はやめよう。
コツがわかると、こんな小さな河原でも次々見つかる。
合計20個ばかり。
うん、これはうれしい。
一つくらいは矢じりつくれるかな。

もっと大きいのがほしいけど、
これ以上は長靴では無理。
上流に歩いて行ければいいのだが、
いやいや、こういうときに大事なことを忘れちゃいけない。

深追いしないこと。足るを知ること。

今日はこれで十分楽しんだ。

帰ろ。

ところが、
その後にわかに雨が激しくなり、なんと高速道路ストップ。
下の道に降りて、トンネルを越えたところでそこも通行止め。
なにー!?
もしかして、宿まで帰れない?
もう日が暮れるよ。
どうすんの?

しかたない、再び高速にのって、一つ戻る。
遠回りだけどそこから峠越えの国道ルートしかないのかー。
標高も1000メートル超えるくねくね道。
大丈夫かな。

もうあたりは真っ暗、激しい雨と霧。
携帯も圏外。もちろん店はおろか民家すら、、、。
道路地図をみると、ダイナミックな眺めが楽しめる樹海ロード。
って書いてある。
いや、楽しめそうにありません。
それどころか中央車線すら見えん。
ある意味ダイナミックでしょうよ。
でもこの国道も先で通行止めだったら、他に道はなさそう。
今夜どうする?
スリップとかがけ崩れとか、、、。
やばいのか?これ?
と、はじめて思った。
それでも携帯の繋がる場所から宿に電話を入れ、
時折猛スピードですれ違う対向車に勇気づけられて、
なんとか、峠を越えて、日高までたどり着いた。

胸をなでおろす。
夜の豪雨の樹海ロード。
たしかにダイナミックだった。

宿の夕飯の時間はとっくに過ぎていたのに、
僕の分ともうひとり分、誰かの分と、
別室にちゃんと用意してくれてた。
ああ、もうひとり誰か着いてないんだな。

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食べかけてから、気がついて写真1枚。

うう、ありがたい。
宿のひと、御心配をおかけしました。
暖かいご飯がしみます。
でも宿のフロントのおかみさん。
こともなさげに、

「ああ、道東道はしょっちゅう止まりますからねえ。でもお客さん、
思ったより早いお帰りでしたね。」

あ、ああ、そうなの、よくあるんだ。

今日のところは、これは、
深追いせずに、吉、としておくべきなんだな。
そうしよう。

夜中に部屋で石を洗って
新聞紙のうえに広げてから寝た。
長かった1日。






















posted by 前川秀樹 at 22:11| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北国行 その1

4年ぶり3回目の北海道
魅かれ焦がれる地。
なのに、
まったく仕事抜きの旅は今回が実は初めて。
ちなみに前回はこんな感じ


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今回は最初から最後まで川また川。
とにかく川がすばらしかった。
宿は日高にとった。、
南北に流れる一番大きな河は沙流川。
大きな河、小さな川、流れこむ無数の沢。
そのどれにももちろん名前は付いているけど、
支流の沢にはいまも漢字は当てられておらず、
地図も案内板もカタカナ表記だ。
沙流川沿いにもチロロ、ベンケヌーシ、シドニ、スクシュベツ、等々。

雨のたびに削られ形を変える龍のような流れのほとりで、
やや不思議な気分になる。
ヤマト民族とは根底から違う文化の根ざす場所。
川と人の関係もまた全然違う気がしてくる。

何というか川が飼いならされてないんだな。
人と対等というか。

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ちなみにこれが今回の一番気持ちのよかった河を見下ろす場所。
沙流川の南支流であるチロロ川。ここは漢字もある。千呂露と書く。
チロロとはキロロアン(面白い、興味深い場所、)からの転嫁とされるが詳細は分からない。
かつてサケが面白いように獲れ、上流へ登れば鹿が愉快なほど狩ることができた。
との説もある。
ちなみに沙流川のサルはアイヌ語では、葦の生い茂るところ。という意味だ。

うん、見下ろしていると、心なしか、気持がすかっとしてくる。

4日間すべて雨でどこも増水して、泥の色にうねる川。
ここには2度行ったけど、不思議とここに立つときに太陽が顔を出す。
水もここだけ青い。

こんなにきれいなのに却ってそのことがちょっと怖くなる。
川に対して、決して不敬を働くべからず。
そんな気分。                  









posted by 前川秀樹 at 20:19| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月08日

北方面エスケープ。

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犬の散歩の途中で見る西の空の暮れにも呆けて見とれてしまう。
ネムノキも新しい芽を伸ばさなくなった。
ティム・バートンのキャラクターのように、
ぼろぼろなマントで、クロアゲハが飛び去ってゆく。
数字の上では猛暑日、でももう夏ではないんだな。

8月、もう無理、もう仕事したくない。と、暑さにへこたれそうになりながらも、
思いのほか頑張ってしまい結果、制作は進んだ。
そこで、明日から4日ほど、一人で遅い夏休み。
今度はちょっと北の方へ宝探し。

今日は1日その準備。
地図も気圧計もコンパスも持った。
カーナビも積んだ。
最低気温も20℃を切るかもしれないので、
上に一枚はおるシャツを詰めた。
靴も洗ったし。長靴も持った
さて、準備完了。
僕は休む。
たった4日間だけど。
のんびりと、は苦手。
あくまで行動的に能動的に
僕は“休む”と決めた。
今回は何が見つかるかなあ。


posted by 前川秀樹 at 19:18| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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