2012年06月28日

7月ルビジノ。

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梅雨真っ只中です。からっとした日がなかなか無いのは当然として、
しとしと降り続く雨の日もなんだか少ない。
中途半端な梅雨空です。

さて、誠に勝手ながら先月お休みをいただきましたルビジノ。
今月は 

7月7日(土) 8日(日) 9日(月) 10日(火)のオープンとなります。

蓮の花にはもうすこしといったところですが、
蓮田の若葉はのびのびと美しいですよ。
是非いらしてください。

千葉県長生郡の as it is のコレクション展「collier」も引き続き開催中です。
そちらの方もどうぞよろしくお願いいたします。

posted by 前川秀樹 at 18:21| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月24日

自動人形の夜。

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「みなさま、良い夜を・・・。」

とある夏至の夜。
舞台の上の血の通った美しい自動人形(オートマタ)が艶然と客席に囁く。
舞台と客席の間には薄いセピア色の幕がかかっていて、
そちらとこちらを隔てている。
舞台は現実と空想の間隙で揺らめいている。
そちらとこちら、お互いの世界の層がわずかにずれたような
もどかしい距離がとてもここちよい。
そのズレを無理やり補正しようとする
強引で稚拙なMCなんて微塵も無くて、
観客もまた心得ているから、野卑な盛り上げ方もしない。
セピア色の幕はつまりそんな見えない約束事。
ライブの演者は観客にこんなふうに一時の夢をみさせてほしい。
そんな理想的なライブだったなあ。
MCもお見事。

昨夜のカフェ・ラ・ファミーユでの演者は Mama milk
大好きなんだけど、ここに呼んでね、呼んでね。と、
ずっとオーナーの奥澤君に言いつづけた甲斐あって、
とうとう実現!やったあ!
ミーハー心って僕はめったにうずくことはないんだけど、
昨夜ばかりはさすがにぐらりときました。もういいや、
すきなだけ鷲掴みください。もう。どうぞ!持ってってー。(笑)
かっこよかったなあ。

ファミーユの舞台飾りを作らせていただいてから1年。
ブルターニュあたりの小さなビストロにある架空のテアトル、
が奥澤君の目指すところだった。
名前もちゃんとあって、テアトル・シャラバンという。
おととい、ようやく舞台の緞帳というか赤茶色のベロア生地の舞台幕もついた。
幕がするすると滑るように開く。

架空の、箱の中で、たった二つの楽器だけで、
そこにはないはずのシーンを、幻術のごとくに生き生きと現出させてくれる、
どこか現実感の希薄な2体の美しきオートマタ。

あまりにもそのシチュエーションがはまってる。
そうそう、舞台つくるときに、
僕はこんな大人の夜の遊び感をイメージしてたんです。
都会で毎夜開かれる華やかなりし何某。
というのでなくて、どこかの田舎町の片隅、
場末の深い夜に、そっと開く血の色をした艶やかな花のような。
舞台の上の華やかさと対の人生の薄暗がりと。
観客席も含めて、舞台がようやく完成した感じ。

長く作り手としてやっているけど、
こんなに作り手冥利に尽きるシーンには、
おいそれと出会えるものでは無いのです。
あの舞台で「孔雀」を生で聴ける日が来るとはね。
なんて華やかで、艶っぽくて、重厚な孔雀。
やっぱりCDと全然違う。当り前だけど。
幸せだなあ。と昨夜は改めてかみしめた。

生駒さん、清水さん。
ぜひまた茨城に、いやファミーユにいらしてくださいね。
まじで。







posted by 前川秀樹 at 07:47| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月22日

住む 夏号出てます。

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季刊誌「住む」夏号 no.42
出てます。
今回の小さな物語は、夏だし、海開きだし、ということで
海に潜る海女さんのちょっと怖いハナシにしました。
タイトルは 「トモカズキ」です。

3か月に一度の物語に加えて、現在執筆中なのが、
年末に出る、物語集 ZUFRE2(仮)のためのものです。
今月中にはそろそろすべての物語の原稿が出揃う予定なのですが、
予定通り難航中です。(苦笑)
新たな書き下ろしに加えて、
住むのこれまでの3つの物語も大幅加筆修正のうえ収録予定でいます。
誌面で読んでくださった方も、
ああ、実はこういう話だったのか。と思ってもらえるように、
いろいろと組み立て直しです。
むう、大変だ。

そんなことをパソコンの前で考えていたら、
嬉しいお届けもの。0622.JPG

結城のMちゃんから。旬の味!
やあ、嬉しいなあ。美味しそうだなあ。
ありがたく頂きます。
大御馳走様。
大変だ、とかほざいてないで、こつこつ頑張ります。はい。


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追記
午後にまた荷物が届く。
なんだろう?と思って開けて見たら、
古い友人の明子ちゃんが出した初詩集、「おひさまみかづき」が2冊。
わあ、とうとうというかやっと形になったんだね。
送ってくれてありがとう。
あふれる女性らしい言の葉を改めて読み返す。
母の香り。
昔から、詩を書いてたけど、形になるのはまた全然違う。
ひとに伝えられるカタチが大事なんだとあらためて思う。
「真理は存在する物の中に自らを整え入れることによって初めて真理たりうる。」
そんな金言もあるしね。
よかったね。











posted by 前川秀樹 at 13:16| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月16日

ハツタマ

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今朝アトリエ行こうとしたら、玄関前にこれが落ちていた。
おお、今年初のヤマトタマムシ。
毎年これをみると、夏が来た感じがする。
見られるのはこれから8月いっぱいくらいかな。
昆虫の中では大型種で美しさはやはり際立っている。
日本を代表する風格と品格がある。
ちなみに
茨城県のレッドデータブックでは絶滅危惧U類に分類されている。
これは絶滅の危機が増大している種、だそうだ。
そうなのか。
うちの周りは里山というほどでもないけれど、
几帳面に宅地造成された感じの、四角い土地ばかりでもない。
適度にいい加減な繁みや草むらや、大きな雑木の生えるゆるい土地が残っている。
だからなのか、ヤマトタマムシを今もまだ良く見かける。
7月の終わりのころには庭で涼んでいると、
エノキの高い葉のあたりに群舞する様子が見られるほど。

地面を全部コンクリートを敷きつめてしまうと、
当然虫なんて生きていくことは出来ないし、
かといって、まるで手つかずの繊細すぎる環境を
隔離して保護や保存の方向だけにばく進してしまうと
自然環境は人の暮らしからも遠い、現実感のないユートピアになってしまう。
実際に見て触れることもできないものは、ついつい感心も薄れてしまうから、
結局、環境保護という考え方がどこかで実感を失い、観念的になりすぎる。
環境に対する実感を伴った人々意識が、本当にそれで高まるとは思えない。
そんなものはそもそも持続しない。
里山というのはその中間として、理想的な場所だった。
生活や生産、それを上手に循環させる程度に生きた自然と。
どちらも死なないことが大切だった。
そのための譲り合いとせめぎ合い。
いい加減、で、適当であることは存外大切なことなことなのだと思う。
がこれは今、とても難しい。
暮らしや生産の形が急激にあまりにも変わってしまったから。
それに、
何においても、無駄=怠惰、省くべきもの、
という考え方が幅を利かせてしまうからだ。
時間の無駄、場所の無駄。
大多数の人が本当にそう思うのなら、それも仕方がないのかなとは思う。
でも、
どうすればいいのかな、といつも思う。

玉虫色、という言葉があるけれど、
それは日本人の自然とのかかわり方にも通じるところがある気がする。
それをどっちつかずというなかれ、
それは極まればこんなに見事に美しい。


posted by 前川秀樹 at 18:15| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月07日

関わり。

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一つ一つの名前を覚えるのではなく、自然の中で“関わり”を見出すのだ。

とある、環境生物学者の言葉。
そうだ。目の前のモノから焦点ちょっとずらして、
関わりというコトに目を向けることが大事だ。

そんなことをあれこれ考えてしまうのは、
決まって制作が煮詰まっている証拠。
最初の動機を持たずに小手先だけで見切り発車で
形を作ろうとしたら黄信号。

仕方がない。アイデアも出るかもしれないので、
今日は、水汲みに海沿いの大洗神社まで出かけよう。
車にタンクを二つ積んで。

海沿いといえば丁度気になっていたスポットがあったから、
そちらにも。

「椨」この字はタブと読む。
楠や椎と並んで、日本の照葉樹林の主要な構成要素となっている。
が、僕はこのタブノキというのがどれだか知らなかった。
図鑑を見ても、特にどうという特徴のある木ではないように見える。
よし、今日はこのタブノキを分かるようになろう。
この季節、タブノキを食害する、
ホシベニカミキリという上品な紅色のカミキリムシが見たい。
 
道路をゆっくり走りながら、探す。
あれかな?あの枝ぶりがタブかな?
うーん決め手に欠ける。一応目星をつけていた場所に到着、
おお、あの木がイメージ通り。あんな感じだと思う。
クスノキ科だから、葉っぱには香りがある?いや、特にないな。
でも枝ぶりも葉の出方は楠そっくり、木肌はまるで似てない。
ほんとにこれかなあ。
おや?枝の先のほうが枯れているよ。太い枝にはなにやら幼虫の食痕。
成虫の羽脱孔らしき穴。
と思って枝葉を見ていたら、あ、飛んできました。止まりました。
おお!あの紅色は。そうに違いない。
あたり〜〜〜。
やっぱりきれい。実は実物をこんなに間近で見たのは初めて。
ホシベニカミキリ。体長が2,5センチくらいかな。
体つきもかちっとしていて、触覚も長くて
カッコイイ。

なるほど、これで決定。この木がタブね。よし、もう覚えた。
こうやってこれが飛んできて、木肌に広く傷をつけて、産卵。
朽木ではなくて、生木を食害するのが厄介だなあ。
木は迷惑だろうに。ぼろぼろになって枯れてしまうなんてこともあるのかね。
それとも、持ちつ持たれつな関係が、もうちょっと他の要素も含めると見えてくるのか?
どうなんだろう?関わり的に。
まあ、簡単にわかるわけがない。

ああ、でもやっぱりこういう実感はフィールドでないと味わえない。
匂いとか、木肌のざらつきとか、飛来するカミキリムシの羽音とか。

自分がちゃんとその“場”の関わりの一員になっているような気がする。
それを確認するのは大事なことだ。
そういう関わりの中に、人の営みである、ものつくりもちょっと参加してる。
ぜひそうありたいものだ。

さて、帰ろう。
新作のアイデア?は、次書く物語のテーマは?
それはまあ、やっぱり出なかったというか、なんというか(苦笑)。
まあ、今夜寝れば明日朝にはぱっと、目の前に。
なんてことはめったにない。
ああ、助けてホシベニ。

posted by 前川秀樹 at 21:19| LOLO CALO HARMATAN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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