
一つ一つの名前を覚えるのではなく、自然の中で“関わり”を見出すのだ。
とある、環境生物学者の言葉。
そうだ。目の前の
モノから焦点ちょっとずらして、
関わりという
コトに目を向けることが大事だ。
そんなことをあれこれ考えてしまうのは、
決まって制作が煮詰まっている証拠。
最初の動機を持たずに小手先だけで見切り発車で
形を作ろうとしたら黄信号。
仕方がない。アイデアも出るかもしれないので、
今日は、水汲みに海沿いの大洗神社まで出かけよう。
車にタンクを二つ積んで。
海沿いといえば丁度気になっていたスポットがあったから、
そちらにも。
「椨」この字はタブと読む。
楠や椎と並んで、日本の照葉樹林の主要な構成要素となっている。
が、僕はこのタブノキというのがどれだか知らなかった。
図鑑を見ても、特にどうという特徴のある木ではないように見える。
よし、今日はこのタブノキを分かるようになろう。
この季節、タブノキを食害する、
ホシベニカミキリという上品な紅色のカミキリムシが見たい。
道路をゆっくり走りながら、探す。
あれかな?あの枝ぶりがタブかな?
うーん決め手に欠ける。一応目星をつけていた場所に到着、
おお、あの木がイメージ通り。あんな感じだと思う。
クスノキ科だから、葉っぱには香りがある?いや、特にないな。
でも枝ぶりも葉の出方は楠そっくり、木肌はまるで似てない。
ほんとにこれかなあ。
おや?枝の先のほうが枯れているよ。太い枝にはなにやら幼虫の食痕。
成虫の羽脱孔らしき穴。
と思って枝葉を見ていたら、あ、飛んできました。止まりました。
おお!あの紅色は。そうに違いない。
あたり〜〜〜。
やっぱりきれい。実は実物をこんなに間近で見たのは初めて。
ホシベニカミキリ。体長が2,5センチくらいかな。
体つきもかちっとしていて、触覚も長くて
カッコイイ。
なるほど、これで決定。この木がタブね。よし、もう覚えた。
こうやってこれが飛んできて、木肌に広く傷をつけて、産卵。
朽木ではなくて、生木を食害するのが厄介だなあ。
木は迷惑だろうに。ぼろぼろになって枯れてしまうなんてこともあるのかね。
それとも、持ちつ持たれつな関係が、もうちょっと他の要素も含めると見えてくるのか?
どうなんだろう?関わり的に。
まあ、簡単にわかるわけがない。
ああ、でもやっぱりこういう実感はフィールドでないと味わえない。
匂いとか、木肌のざらつきとか、飛来するカミキリムシの羽音とか。
自分がちゃんとその“場”の関わりの一員になっているような気がする。
それを確認するのは大事なことだ。
そういう関わりの中に、人の営みである、ものつくりもちょっと参加してる。
ぜひそうありたいものだ。
さて、帰ろう。
新作のアイデア?は、次書く物語のテーマは?
それはまあ、やっぱり出なかったというか、なんというか(苦笑)。
まあ、今夜寝れば明日朝にはぱっと、目の前に。
なんてことはめったにない。
ああ、助けてホシベニ。