これが線量計である。
土浦市役所で貸し出しをしている。
最初手にとってみてなんだか拍子抜けしてしまった。
何この丸っちいフレンドリーな感じのデザイン。
だって、放射能というかガンマ線を自ら測定する。
そんな事態が日常に普通にあるとは思わないじゃないか。
研究者でもあるまいし。
そういう特殊な器具って、
もっとこうごっついというかいかつくて、
メーターとかつまみとかいくつもついてて。
あの、ガイガーカウンターという
ひれ伏さずにはおれない厳格で深刻なイメージ?
理科学実験器具みたいなのを想像してたのに、
なんじゃ!この山田電器で炊飯器の隣あたりで
ワゴンに山積みされて売っていそうなカジュアルさ。
押すボタン二つだけってなんやねん!
キッチンタイマーと役割の重みが違うやろ!?
こんなんで計る数値が本当に正確?
でもまあ、仕方がない。
突っ込みだしたらきりがない。
借りたのは、実はうちではなくて、
すぐ近所のヒロセさん家。
これは先月の末の話。
当グログでもおなじみのタツシがその日は家の周りの計測という重要ミッションをになっていた。
計測するタツシ。
家の周りの地図と詳細な表、それにナンバープレートまで用意して計測。
あー出ましたねー。
うーん、雨どいの下とかはやっぱりおもわしくないねえ。
そのあと返却予定時間までちょっと時間があったので、
僕のうちの周りも数か所測定してもらった。
あー。こっちもどうもなあ、、、、。
1ミリシーベルト超の数値だと、国は除染を進めているようだけれど、
どこもかしこも、よろしくない数値がこの丸っこいプラスチック家電の液晶に示される。
とある雨どいの下には水ガメが置いてあって、
中には金魚のキンちゃんが、
今も何事もなかったかのように泳いどる。
その周りの土の数値も、うわあ。
この水も当然まあ良くはないだろうけど。
キンちゃんのようすに異常があったら考えるかね。
予想通りとはいえ、数字になるとやっぱりなんだかだんだん腹が立ってくる。
そうかあ、例外なくここにも放射性物質ってやつが降り注いだのか。
あとで、文科省の相談窓口に電話をして訊ねてみたら、
丁寧に基礎知識から教えてくれた。
数値を言ったらば、
まあ、すぐに健康被害どうこう言う数値ではありません。
もし、気になるようでしたら、表土を1センチ程度削って、
その土を手の届かないところに埋めてください。
とのこと。
え?1pだけ?
手の届かない所って言われてもなァ、、、。
このあたりは3月20日あたりに降った雨で一気にそれが積もったそうだ。
空気中の浮遊濃度は今はほぼ計測されないほどになっているので、
一度除染をすれば、これから先これ以上堆積するようなことは
無いそうだ。
ちょっと胸をなでおろす。
汚染、とか被曝とかそれはどこか遠い話ではない、
自分たちがその対象なのだ。
それはよくわかった。
まあでも、どうしようもない。
小さい子供がいるでなし、
とりあえずこのまま現状維持かのう。
それにしても数字ってやっぱり怖い。
目に見えないものだから、
それまでは何となく概念でしかなかった、放射性物質なんてものが
その安っちい液晶画面で一瞬で実態を持った。
またむかむかしてきて機械にあたりたくなってくる。
機械に罪はない。緊張感のないデザインにもまあ罪はない。
いずれにしろ、
僕の中でその“前”とその“後”では、もう見慣れた地面は別のものになったのだ。
ためいき。
もうこれ以上詳しく計るのは止めよう。
それだけで病みそうだ。
ちなみに裏返して見ると計測器はタニタ製だった。
タニタにも罪はない。