ずっと、いつかいつか、と思い続けていた神社。
静岡県富士宮にある富士山本宮浅間大社。
全国にある浅間神社の総本宮で、駿河の国一宮。
御祭神は木花佐久夜毘売命(コノハナサクヤヒメノミコト)
僕はどうもこのお柱に御縁がある。
その日はご参拝目的半分、
残り半分は天気があまりによさそうなので、
最近うちに来た新しい車の長距離試運転。
富士山がご神体。だからここでは鳥居は本殿へ向かうものでなく、
間近に拝める、この美しい独立峰をフレーミングするためのもの。
あの富士山の8合目から頂上までが、この本宮の境内だそうだ。
え?あ。そうなんだ。先っちょだけ?
富士山のあの雪が積もっているところ、
ここの神社の敷地なのか。
富士山って漠然とみんなのものって気がしてたけど、
そんなわけないか。
とにかく明るくて開放的で、おごそかというより
拍子抜けするほど華やかな神社。
御祭神のありようがよく表現されている。
あっちにもこっちにも清流 湧水 天然水。
池にも鯉じゃなくて大きなニジマスが泳いでる。
やっぱり聖域の基本は“水”なのだ。
にしても、今年の災害は水、水、また水に尽きる。
年末になった今も。
ありがたく恐ろしい、潤い押し流す。
日本の信仰の基本は水なのかもしれんなあ。
それからぐるりと富士裾野を時計回りに半周、
この国道139号線ってまた最高に眺めがいい。
改めて富士山ってどこから見ても本当に麗しい。
で、今度は甲斐の国へ。
富士吉田登山口にある、北口本宮富士浅間神社。
本宮とはうって変わって、大木に囲まれうっそうとしていて、どことなく厳めしい感じ。
銀杏も見事。
こちらはこちらでなんとも自然の色合いの調和が素晴らしい。
同じ浅間神社でもまったく雰囲気は違う。
富士を挟んで駿河の国と甲斐の国、
その気質の違いみたいなものが多分ある。
神社から車ですぐ、忍野にある出口池。
ひっそりとある湧水の村をイメージしてたけど、
観光客結構多い。
それと自衛隊の富士演習場の砲弾の音が
ズドーン、ゴゴーン。て始終山に響き渡ってる。
初冬の寂しげな風景と、その取り合わせが奇妙といえば奇妙だ。
それにしても寒かった。
冬が始まった感じがしたなあ。
コノハナサクヤというくらいだから、
やっぱり桜の花の頃合いにもう一度お参りに来たほうがいいかもな。
帰りに中央高速から
外苑で降りて、
DEE’Sでやっている、上田快さんと亜矢子さんの石彫展をみる。
やあ、どうも、山梨で一緒に夏休みして以来ですねー。
このお二人の石は、いつも軽やかで温かい。
欲しくなる石彫刻ってあんまりないけど、
そこの微妙なところをチクチク刺激してくる。
むう。
展示がすごくよかったので、参拝の長い一日の
いい締めくくりになった。
そういえばコノハナサクヤヒメの姉神は石長姫(イワナガヒメ)
妹はこの上なく華やかで美しくしかし短命、限りなく長命で盤石、しかし醜女の姉。
降臨したニニギノミコトに姉妹を差し出す父、大山祇神(オオヤマツミ)。
しかし妹は娶られ姉は返される。
それにより天孫族は神々よりもずっと短命になった。
記紀の中でも感慨深い有名なくだり。
華と石。
普遍的ないいモティーフだなあ。