2009年11月03日

10月末日朝3時起き?

夜明け前。家から1時間余り車で走ったところにある
大洗港へ車を飛ばす。


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朝5時。
常連の鈴木さんに連れられて、
乗船名簿に記入。お支払いを先に済ませる。
スズキさんは、僕のプール仲間で、還暦を迎えるものの、いまだアウトドアなんでも来いの元気なナイスガイだ。


「え、そちらさん初めて?スズキさんのツレなら安くしておくよ。」


親切な感じのおやじさんだなあ。この人が船頭さん?

それにしても、いろんな意味で面白い体験だった。
船釣りなんて、子供のころ数回、瀬戸内の穏やかに凪いだ海に、
知り合いの漁師さんに連れて行ってもらったことがあるくらい。
それも、
船外機のついた、小さな船のヘリから糸を直接垂らして、
ベラやメバルなんかを釣る脈釣りだった。
の〜〜〜んびりした空気が好きだったのを覚えているくらいだ。

釣りなんておおよそそんなもんだと思っていた。
ほんの数日前までは。

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しかし、初めての太平洋(そとうみ)の洗礼はあまりに厳しいものだった。
船のヘリから見える波がしらが高い!水平線が水平じゃない!?
借りた雨合羽と救命胴衣の意味がいやでもわかる。
下手に竿を置いて狭い甲板を移動しようと、足元を見ようものなら、
たちまち吐き気が襲う。何よりバランスがとれず転倒は目に見えている。
だからとにかく出港から帰港まで数時間、基本、自分の持ち場の船べりから、
動くことは難しい。

そんないろいろな初めてのことに、
体中の神経を必死に分散させ続けた結果、
魚がかかった時の喜びやスペシャルな瞬間は
いつしかすっかり埋没してしまうのだ。

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スズキさんの雄姿。腰の入り方がまず違うんだな。

へろへろになった僕の体の真後ろから
船頭さんのホイッスルの音が響く。
ぴょろー!右舷左舷合計10人がの動作が見事にシンクロして反応する。
錘着底と同時に
6回巻き上げ再びしゃくりを開始!

あの、これ、
一体何工場?

とか考えるとまたおかしくなってきて、
僕が脳内に逃避して遊び始めるころ
自分の竿にぐぐいい!とヒット。
お!大きいぞ。イナダかワラサか?
という未知への期待が、
疲弊した体をまたちょっと元気にしてくれるから、

これが見事に飴とムチ効果なのだ。

船頭さんは、とにかくこまめに魚群探知機を見てふねの移動を繰り返す。
ああ、いつこの船の舳先が、遠くにかすむ大洗港を向くのかなァ、、。
なんて申し訳ないことばっかり僕は考えていたんだけど、
船頭さんにしてみれば、この悪条件の中、
明らかに不漁の日に、僕らに1匹でも沢山釣ってもらおうと
時間いっぱいまで必死の工夫をしてくれてたんだなあ。


「昨日ならもっとよかったんだがなあ、、。悪い時に来たね。お客さん。」

港に着いて、残念そうな感想を漏らす船頭さんの言葉を聞いて
僕はそう思った。
そしてその時にしてさらに気がついたことは、
なんていうかつまりこれは、
漁労長の主催するワークショップだったんだな。
ということ。

いえいえ、漁労長。決してそんな残念なことなかったですよ。
ものすごく貴重な初めて体験をさせていただきました。
海がとてもよくわかった気がします。
あ、でももうちょっと早く切り上げてくれたなら、
僕は今頃また別の感謝を漁労長に抱いてましたけどね。(笑)

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これから冬に向けて、
獲物はイナダから、ヒラメに移ってゆく。
大洗に行った翌日。
気温はぐっと下がった。
木枯らし1号が吹いたそうだ。

あれより過酷の度合いは間違いなくさらに増す。
しかし、すごいよ。鈴木さんもほかの釣り客も。
また来月行きそうな勢いだったもん。

味のしみ込んだイナダの味噌漬けの香ばしい焼き色を口に含んで
ぼんやり思った。

自然は大好きだけど、僕はやっぱりインドアだなァ。
そこは微妙に矛盾はしてるんだけどな。













posted by 前川秀樹 at 13:45| Comment(2) | 粗忽の庭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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